原子力規制委の田中委員長は1日、40年超の運転を目指す関西電力美浜原発3号機について、8月末までに「基準地震動」が決まらない場合、安全審査を打ち切る可能性を示唆しました。その場合は美浜3号機は廃炉に追い込まれます。
6月から本格審査に入った美浜原発3号機の審査で、関電は地震の震源断層の深さを「地下4キロより深い」と想定して基準地震動を750ガルに設定しましたが、規制委側は「高浜、大飯原発と同様に3キロを検討すべきだ」と要求して対立しています。
震源断層の上端レベルを深く見積もれば、その分基準地震動を小さく出来るので補強の工事範囲も小さくなり、工事費が低減できます。
しかし安全度を下げて費用を節減しようというのは、ひとたび事故を起せば取り返しのつかない被害を広範囲にわたって及ぼす原発において、取るべき態度ではありません。
経済ベースだけで無謀な延長運転を図ることは許されません。
(関係記事)
6月11日 美浜3号 規制基準審査 基準地震動で対立
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原子力規制委員長:美浜3号機、廃炉も…地震想定遅れれば
毎日新聞 2015年07月01日
原子力規制委員会の田中俊一委員長は1日の定例会で、運転開始から40年超の運転を目指す関西電力美浜原発3号機(福井県)について、今年8月末までに想定する最大の揺れ「基準地震動」が決まらない場合、再稼働に向けた安全審査を打ち切る可能性を示唆した。美浜3号機の運転継続のためには、8月までに基準地震動を確定する必要があり、間に合わなければ廃炉に追い込まれる可能性が高まる。
美浜3号機は1976年12月に運転を開始し、来年11月末で原発の運転制限とされる「40年」を迎える。関電はさらに最大20年の運転延長を目指しているが、そのためには来年11月末までに安全審査と老朽化対策の審査を終える必要がある。
規制委は、原子炉建屋などの耐震基準の根拠となる基準地震動が確定してから、その他の審査が終了するまでを「15カ月程度」と見積もっており、来年11月から逆算して今年8月末までに基準地震動が確定できなければ審査継続は難しいと判断した。定例会で、地震対策の安全審査を担当する石渡明委員は「8月までに基準地震動を確定することを目指すが関電側の努力が必要だ」と指摘。田中委員長は「美浜3号機だけにかかり切りになるわけにはいかない」と述べた。【鳥井真平】