2015年7月16日木曜日

「原発メーカー訴訟」団が、憲法学者木村草太氏を招いて勉強会

 福島原発の深刻な被害について、東電に対しては損害賠償の訴訟が起されていますが、原発メーカーである日立、東芝、GEに対しては何も行われていません。それは「原子力損害賠償法(原賠法)」によって、電力会社のみに責任を集中させ原発メーカーの賠償責任が免責されているためです。
 
 製造物の欠陥により人の生命、身体又は財産に被害が生じた場合、一般的には製造業者損害賠償の責任を問われます。それと同様に、原発事故において原発メーカーには本当に責任はないのか、不備な原発を作ったメーカーにこそ大事故の責任があるのではないかと問い、原子力の恐怖から逃れて生きるノー・ニュークス権」を冒したメーカーを免罪する原賠法は憲法違反であると主張する「原発メーカー訴訟」が、201430(一次)と2014年3月11(二次)に東京地裁に対して起されています。
 
 「ノー・ニュークス権」は「人格権」をより具体化したものと思われますが、いずれにしてもこれらは憲法そのものから導き出されるものです。
 原告団は14日、参議院議員会館憲法学者の木村草太・首都大学東京准教授を招いて勉強会を開きました
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憲法学者・木村草太氏「ノーニュークス権」掲げる
「原発メーカー訴訟」原告団にエール
弁護士ドットコムNEWS 2015年7月14日
福島第一原発の原子炉をつくったゼネラル・エレクトリック(GE)、東芝、日立を被告として、原発事故の責任を問う「原発メーカー訴訟」。その原告団が7月14日、東京・永田町の参議院議員会館で、憲法学者の木村草太・首都大学東京准教授を招いて勉強会を開いた。
 
この裁判は、原発事故が起こっても、原発メーカーの責任が免除される法制度(原子力損害の賠償に関する法律)はおかしいと考えて、原発メーカーの責任を追及するために起こされた裁判。日本だけでなく、世界から4200人余りの原告が集まって、「一人当たり100円を支払え」と原発メーカーに求めている。
 
原発メーカー訴訟弁護団の共同代表・島昭宏弁護士は「僕らが東電に対して、いくら責任を追及しても、それだけでは、予定されていた仕組みの中で騒いでいるにすぎない。原発体制は痛みを感じない」と、原賠法が違憲であることを主張して、原発メーカーの責任を追及する必要性を訴えた。
 
木村准教授は「メーカーが完全に免責されるということは、かなり違和感がある責任制限であるように思う。この問題を社会に発信するうえで、重要な訴訟だ」と述べた。
 
●「ノーニュークス権」はリスクを問題にしている
今回の裁判で、原告団の主張の核となるのが、個人には、原子力の恐怖から免れて生きる権利(ノーニュークス権)があるという主張だ。
 
島弁護士は「この訴訟の目標は、もちろん勝訴して、メーカーに責任があると認めさせることだ」としつつも、「少なくとも、ノーニュークス権という人権があることを裁判所に認めさせたい」と述べた。
 
ノーニュークス権という新しい人権について、木村准教授は、「ノーニュークス権は、『リスク』を問題にしている。今回(福島原発事故)はそれより先に行って、リスクが現実化した状態だ。『原子力事故によって生じた損害を適切に賠償してもらう権利』、『原子力に起因する損害を完全に賠償してもらう権利』といった構成にしたほうが、今回の訴訟には合うのではないか」とアドバイスしていた。
 
勉強会を終えて、島弁護士は「ふだん憲法の話にどっぷりつかることがなかったので、話を聞いているだけで幸せな気分になったし、とても勉強になった。木村先生が示してくれた法律構成を、これから弁護団で議論してきたい」と述べた。
 
原発メーカー訴訟の第1回口頭弁論は、8月28日に東京地裁で行われる予定。