2015年5月1日金曜日

高浜原発が運転延長申請 全国初のケース 美浜原発も・・

 関西電力は30日午後、運転開始から約40年たった老朽原発の高浜1、2号機(福井県高浜町)の運転延長を、原子力規制委員会に申請しました
 同電力は、運転開始から38年経つ福井県の美浜原子力発電所3号機について、運転期間を40年を超えて延長することを目指し、5月中旬から、原子炉の劣化状況などを調べる「特別点検」を行う方針を固めました。
 
 原発の圧力容器(原子炉)の鋼板は中性子の照射によって脆化を起こすので、原子炉の寿命は設計時には30~40年とされていました。実際に運転後36年を経過した玄海1号機の原子炉のテストピースで脆性遷移温度を実測したところ「98℃」が得られました。
 これは事故などによって高圧の状態で冷却した場合、98℃まで下げると原子炉が破裂する惧れがあるということを示します。
 
 ところが福島原発事故後の2012年に改正された原子炉等規制法で、運転期間は運転開始後40年を限度とするが、原子力規制委員会の認可を受けて、1回に限り、20年を超えない期間延長することができる (第4章 (2) g項)となりました。
 30~40年が限度とされていたものが、法令により最大60年まで延長できることに変えられました。融通無碍という感じです。
 
 運転中の原子炉の破裂は考え得る最大の悲劇ですが、規制委は果たして申請を許可するのでしょうか。許可する場合どのようにして安全性を担保できるのか注目されます。
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高浜原発、午後に運転延長申請 関電、全国初のケース
東京新聞 2015年4月30日
 関西電力は30日午後、運転開始から約40年たった老朽原発の高浜1、2号機(福井県高浜町)の運転延長を、原子力規制委員会に申請する。関電幹部は同日、福井県を訪れ、県安全環境部長に説明した。
 
 東京電力福島第1原発事故を受け、原子炉等規制法は原発の運転期間を原則40年と定めたが、例外として1回に限り最大20年の延長を認めた。申請は全国初のケースとなる。
 関電は昨年12月、運転延長に必要な原子炉容器の損傷具合などを調べる「特別点検」を始めた。点検結果に安全上重要な問題がなかったことから、延長申請を決めた。運転から38年たった美浜原発3号機の特別点検も実施方針。(共同)
 
 
美浜原発3号機 5月中旬から特別点検
NHK NEWS WEB 2015年4月30日
運転開始から38年たつ福井県の美浜原子力発電所3号機について、関西電力は、運転期間を40年を超えて延長することを目指し、来月中旬から、原子炉の劣化状況などを調べる「特別点検」を行う方針を固めました。
 
福島第一原発の事故のあと国は、原発の運転期間を原則40年とする制度を導入し、例外的に延長する場合には、原子炉などの劣化状況を詳しく調べる「特別点検」を行うよう電力会社に義務づけています。
こうしたなか、関西電力は、運転開始から38年たつ美浜原発3号機について来月中旬から「特別点検」を実施する方針を固め、30日午後、福井県と地元・美浜町に伝えることにしています。
「特別点検」では、原子炉の場合、これまで溶接部分だけだった超音波による検査を全体に広げることや、格納容器は、材料のコンクリートの一部を切り取ったうえで、強度を詳しく調べるなど、電力会社が原子炉や格納容器などの劣化を詳しく調べて評価し、国に報告します。
原発の運転延長を目指して特別点検に入るのは高浜原発1号機と2号機に次いで2例目です。
高浜原発について関西電力は、「特別点検」を終えたとして、運転延長の認可申請を30日午後原子力規制委員会に行うことにしています。