金沢地裁判事だった2006年に、北陸電力志賀原発の運転差し止めを命じた井戸弁護士は、24日、大津市で講演し、福島原発事故以前と以降の主な原発訴訟の争点などを解説しました。
その中で、川内原発運転差し止めを却下した鹿児島地裁決定については、「原発の危険性の有無について、実質的に住民側に立証責任を負わせたもの」と批判し、「福島事故前は裁判官も原発の『安全神話』に毒されていた」としながらも、司法を脱原発に向かわせるためには、「脱原発の世論を盛り上げて司法に届けることが大切」と訴えました。
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「脱原発の声を司法に」 運転差し止め判決の元裁判官が大津で講演
中日新聞 2015年5月25日
原発関連訴訟に携わる井戸謙一弁護士(滋賀弁護士会)の講演会が二十四日、大津市の滋賀大・大津サテライトプラザであり、全国各地で行われている原発訴訟の争点などを解説した。
金沢地裁判事だった二〇〇六年、裁判長として北陸電力志賀原発(石川県志賀町)の運転差し止めを命じた井戸弁護士は、福島第一原発事故以前と以降の主な原発訴訟を紹介。再稼働をめぐる仮処分で高浜原発の運転を禁じた四月の福井地裁決定を「市民目線の分かりやすい基準で判断した」と評価した。
一方で川内原発運転差し止めを却下した鹿児島地裁決定については「原発の危険性の有無について、実質的に住民側に立証責任を負わせ、高いハードルを課した」と批判した。
原発訴訟の動向を「事故前は裁判官も原発の『安全神話』に毒されていた」としながらも、今後は変わる可能性を指摘。「原発をなくすには世論が声を大きくし、裁判所に届けることが大切だ」と訴えた。
日本科学者会議滋賀支部が開き、三十人が聴講した。 (角雄記)