原子力規制委の専門家調査団は13日、北陸電力志賀原発(石川県)1号機原子炉建屋下の断層「S-1」などについて、「活断層の可能性を否定できない」との見解を示しました。正式な評価書案は次回会合で示されます。
これに関連して植草一秀氏が、「地震火山活動期日本の原発稼働は狂気の沙汰」とするブログを発表しています。
その中で、関西電力大飯高浜原発3号機、4号機についての福井地裁樋口英明裁判長の再稼働の差し止め判決の中で示された、原発の耐震設計のあるべき姿について簡潔に整理しています。
時事通信の記事と植草一秀氏のブログを紹介します。
これに関連して植草一秀氏が、「地震火山活動期日本の原発稼働は狂気の沙汰」とするブログを発表しています。
そしてそれよりも遥かに緩い基準を設定して規制基準に合致しているとして、火山活動と地震活動の「活動期」を迎えている中で原発を次々と再稼動させようとしている現実を、狂気の沙汰であると批判しています。
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志賀原発に「活断層」=1号機下、否定できず-調査団の見解一致・規制委
時事通信 2015年5月13日
北陸電力志賀原発(石川県)に活断層があると指摘されている問題で、原子力規制委員会の専門家調査団は13日、1号機原子炉建屋下の断層「S-1」などについて、「活断層の可能性を否定できない」との見解を示した。同日の評価会合でメンバーの認識がほぼ一致した。
調査団は評価書案の作成に入り、次回会合で提示する。原発の規制基準は、活断層の上に原子炉建屋など重要施設を建設することを認めていない。最終的に規制委に報告されれば重要な知見として扱われるため、1号機の再稼働は事実上不可能となり、廃炉を迫られる可能性が高い。北陸電は活断層の存在を否定している。
会合では、2号機のタービン建屋下を通る「S-6」についても、活断層の可能性を否定できないとの見解で一致した。冷却用の海水を取り込む配管などの重要施設が断層の上にあるため、現状のままでは2号機の再稼働も難しくなった。「S-6」につながる「S-2」も同様に、活断層の可能性を否定できないとの認識が示された。
2号機原子炉建屋の下には別の断層もあるが、今回の会合では明確な判断は示されなかった。また、敷地外の活断層「福浦断層」などについて、詳細な調査を求める意見が出た。
図は東京新聞掲載分をコピー
地震火山活動期日本の原発稼働は狂気の沙汰
植草一秀の「知られざる真実」 2015年5月14日
石川県志賀町に所在する北陸電力志賀原子力発電所地下を活断層が走っているとされる問題について、原子力規制委員会の専門家調査団が5月13日、1号機原子炉建屋下の断層「S—1」などについて、「地盤をずらす可能性のある断層(活断層)の可能性を否定できない」との意見書を公表した。
4人の有識者とも同様の見解だった。
原子力規制委員会は昨年8月に申請のあった2号機の新規制基準に基づく審査を保留しており、今回の有識者の評価を「重要な知見」として改めて審査する。
審査で断層の活動性が認定されると、2号機の再稼働が困難になる。
他方、志賀原発1号機は審査の申請をしていないが、断層の真上に原子炉建屋があるため廃炉となる可能性が高い。
福井県に所在する関西電力高浜原発3号機、4号機については、福井地裁の樋口英明裁判長が再稼働の差し止めを求めた仮処分申請で、この4月14日に再稼働を認めない決定を示した。
また、同じ福井県に所在する関西電力大飯原発3号機、4号機については、同じく福井地方裁判所の樋口英明裁判長が昨年5月21日に運転を差し止める命令を示した。
安倍政権は安全性が確認されていない原発を日本全国で再稼働させる方針を示しているが、この暴挙にブレーキをかける動きも顕在化しているのである。
志賀原発のように原子炉直下に活断層が走っている場合は論外であるが、原子炉直下に活断層が走っていなくても、原発の安全性は確保されていない。
福井地裁の樋口英明裁判長は関西電力が大飯原発について、1260ガルの地震動に耐える設計になっていると説明していることについて、
1.大飯原発に1260ガルを超える地震は来ないとの、確実な科学的根拠に基づく想定は、本来的に不可能である。
2.我が国において記録された既往最大の震度は、岩手宮城内陸地震における4022ガルであり、1260ガルという数値は、これをはるかに下回る。
3.岩手宮城内陸地震規模の地震動を伴う地震は、大飯原発でも発生する可能性がある。
4.岩手宮城内陸地震が起きた東北地方と、大飯原発の位置する北陸地方、ないし隣接する近畿地方とでは、地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても、陸海を問わず多数存在する。
5.この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく、近時の、我が国において最大というものにすぎないことからすると、1260ガルを超える地震は、大飯原発に到来する危険がある。
との見解を示した。
そのうえで、耐震性能が1260ガルに設定されている原発を再稼働させることは認められない、との判断を示したのである。
日本国憲法は第13条に次の条文を置いている。
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」について、「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」ことを定めている。
国は、この「人格権」を、最大に尊重しなければならないのである。
樋口裁判長は、原子力発電技術の危険性の本質、及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになったとしたうえで、原発に関する国の施策においては、かような事態を招く具体的危険性が、万が一でもあるのかが、判断の対象とされるべきであるとしたのである。適正な判断である。
いま、日本は火山活動と地震活動の「活動期」に入っていると考えられる。
蔵王山、草津白根山、箱根山、御嶽山、阿蘇山、桜島、永良部島で噴火警戒警報が出されている。
岩手県では5月13日にも震度5強の強い地震が発生した。
この情勢を冷静に判断すれば、原発の稼働を断念することが、唯一の正しい対応である。
この、あたり前の判断と行動を示すことができないのが、いまの日本の政治力=政権なのである。
米国に戦争を仕掛けた70年前の過ちと同類の過ちをいま犯しつつある。
(以下は有料ブログのため非公開)