政府、原子力規制委に加えて最高裁までが原発の再稼動を指向しているのを背景に、東電と北陸電力のトップが原発の再稼動に意欲を示しました。
東京電力の広瀬直己社長は28日、2014年度の決算を発表した会見で、「持続的に黒字を生み出していく収支構造にするため、柏崎刈羽原発の再稼働が必要だ」と強調しました。ただし再稼働時期の見通しについては「示せる状況にない」と明言しませんでした。
北陸電力の次期社長の金井豊氏は28日記者会見し、「志賀原発は電力の安定供給の要であり、競争力の源泉」と語り、再稼働に向けて確かな道筋をつけていく決意を語りました。
志賀原発2号機の再稼働申請に関しては「できるだけ客観的なデータを積み上げた。総合的に見ると敷地の活動性があるということにはならないと思っている」と述べました。
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柏崎原発 東電「再稼働は必要」 決算会見
新潟日報 2015年4月30日
東京電力の広瀬直己社長は28日の2014年度決算発表の会見で、原子力規制委員会の審査が続く柏崎刈羽原発に関し「持続的に黒字を生み出していく(収支)構造にするため、再稼働が必要だ」とあらためて強調した。再稼働時期の見通しについては「示せる状況にない」と明言しなかった。
東電は2年連続で経常黒字を確保したが、広瀬氏は電気料金の値上げやコスト削減効果などを挙げ「いろいろやりくりをしており、まだ(経営上の)無理がある」と説明。16年の電力小売り全面自由化も見据え、再稼働による経営体質強化の必要性を訴えた。
再稼働に対する地元理解について、4月1日に設置した新潟本社を拠点に理解活動を強化していく考えを示した。「多くの県民に説明できるような機会を設け、理解を得られるよう努力を続けていくことに尽きる」と述べた。
金井北陸電力次期社長が再稼働に意欲 「志賀原発は安定供給の要」
福井新聞 2015年4月30日
北陸電力初の原子力部門からトップに立つ金井豊副社長は28日、富山市の北電本店で永原功会長、久和進社長とともに記者会見に臨んだ。金井氏は「志賀原発は電力の安定供給の要であり、競争力の源泉」と語り、再稼働に向けて確かな道筋をつけていく決意を披露した。
金井氏は志賀原発が停止してから4年が経過し、来年には電力小売りの全面自由化が始まる現状を「かつて経験したことのない厳しい経営環境にある」と指摘。新規制基準に基づく志賀原発2号機の再稼働申請に関しては「できるだけ客観的なデータを積み上げた。総合的に見ると(敷地の)活動性があるということにはならないと思っている」と述べた。
また「当社存立の基盤は北陸地域。電力の全面自由化後も北陸のお客さまに選んでいただける会社でありたい」と強調。会社運営に当たっては「社員個々の力を束ね、組織力を発揮させるマネジメント力が非常に重要」と語った。
北電は同日の決算発表に合わせて6月の株主総会、取締役会を経た後、社外取締役の導入や取締役の役割分担を明確化する「トップマネジメント改革」を実施することを表明。セーレン(福井市)の川田達男CEOら3人の現監査役を取締役にし、外部の視点から経営に対する監督機能の強化を図っていくことにした。新たな監査役には福井銀行(同市)の伊東忠昭頭取が就く。
永原氏は、自身が務める北陸経済連合会(北経連)の会長職について「北電の会長を退任すれば交代になるだろう」と話しつつも「今後、北経連の幹部と相談して決めたい」と述べるにとどめた。また代表取締役会長として引き続き経営全般の責任を負う久和氏は、社長在任期間を「志賀原発再稼働に最大限、努力してきた」と振り返り、今後も「金井副社長とともに(再稼働という)最大の経営課題を何とかしていきたい」と話した。