2015年5月16日土曜日

福島事故 安全との思い込みが主因 IAEAが最終報告書

 国際原子力機関(IAEA)は14日、東電福島原発事故を総括する最終報告書の要約版をまとめ、同日、加盟国に配布しまし。報告書は非公開ということです。
 「原発は安全」との思い込みが東電をはじめ日本に広がっており、事故の主要な原因になったと指摘、規制機関もそれを疑わなかったと批判しています
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福島事故 安全思い込み主因 IAEAが最終報告書
東京新聞 2015年5月15日 
 【ウィーン=共同】国際原子力機関(IAEA)は十四日、東京電力福島第一原発事故を総括する最終報告書の要約版をまとめ、同日、加盟国に配布したと発表した。報告書は非公開。発表によると、天野之弥(ゆきや)事務局長は報告書で、原発は安全との思い込みが東電をはじめ日本に広がっており、事故の主因になったと指摘、「政府の規制機関も疑わなかった」と批判した。
 
 IAEAによると、要約版は約二百四十ページで事故原因の分析や、東電と日本の規制当局などの対応への評価などが盛り込まれ、六月のIAEA定例理事会で議論する。九月の年次総会には詳細な報告書を提出、IAEAによる第一原発事故の調査は大きな節目を迎える。
 第一原発は二〇一一年三月の東日本大震災に伴う津波で全交流電源を喪失、1~3号機で炉心溶融が起きた。報告書で天野氏は原発の設計や緊急事態への準備、大事故への対応の計画に欠点があり、大災害と同時に起きうる原発事故への十分な対策もなかったとした。また、規制に関する責任がさまざまな機関に分散され「どこに権限があるのか必ずしもはっきりしなかった」と規制制度の欠陥に言及した。
 天野氏は一方で、原発事故後に日本が原子力規制委員会を発足させ、責任の所在を明確化し、独立性を付与するなど規制制度を改革し、緊急時の対策を強化したと評価。他国でも原発の安全対策が進んだが、一層の安全強化を訴えた。