福島第一原発事故の避難者のうち、計5万5千人に東京電力が1人月10万円を支払っている慰謝料について、政府・与党は、避難の期間を「事故から6年」と見なし、その1年後に支給を終えるよう、東電に求めるということです。
それは国による除染が事故から6年目の17年3月までに完了するからというのですが、仮に除染作業が終了しても、これまでの実績から見て、帰還出来る程度にまで除染される可能性は全くありません。年間被曝20ミリシーベルト以下であれば帰還すべきだというのは勿論論外です※。
5月19日 自主避難者への住宅提供、2年後に終了へ 福島県が方針
国や東電がどうしても慰謝料の支払を打ち切るというのであれば、帰還出来ない人たちが他所で自立できるための十分な資金を賠償金として支払う必要がありますが、その金額は強制立ち退きの場合に相当するものになるはずです。
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東電の原発慰謝料「18年3月分まで」 政府・与党検討
朝日新聞 2015年5月19日
福島第一原発事故の避難者のうち、計5万5千人に東京電力が1人月10万円を支払っている慰謝料について、政府・与党は、避難の期間を「事故から6年」と見なし、その1年後に支給を終えるよう、東電に求める検討に入った。支払いは2018年3月分までとする考えで、経済産業省が近く東電側に伝える。
国の賠償指針は現在、慰謝料を支払う時期を「避難指示が解除されてから1年をめど」としている。関係者によると、「6年後」とするのは、国による除染が17年3月までに完了し、避難指示の解除ができているという前提だ。居住制限区域(約2万3千人)と避難指示解除準備区域(約3万2千人)の2区域の人への支払額は事故後7年分までとなり、指示の解除の時期にかかわらず、1人あたり一律840万円となる。
現行の制度では、指示が長引くほど慰謝料が増える。だが、新たな方針が適用されると、事故後5年で避難指示が解除された地域の人なら、現行の制度よりも1年分多く慰謝料を受け取れる。国も慰謝料が終了した後の支援策を地元に示す。これらにより、政府関係者は「解除が進み、これまで手つかずだった復興住宅の建設や、産業の誘致も加速化できる」とする。
だが、計画通りに除染が終わらず、避難指示の解除の条件にある「放射線量の低下」が確実にできるかどうかはわからない。避難指示の解除が遅れた場合も賠償は一律に打ち切られることとなり、復興も進まないことになる。避難している自治体には異論も予想される。すでに避難指示を解除した福島県田村市や川内村の住民も、反発しそうだ。
原発事故の避難者のうち、避難指示の解除の見通しがない「帰還困難区域」の約2万4千人には、慰謝料が1人一律1450万円払われている。(中村信義、編集委員・大月規義)
原発事故の避難指示区域