2017年10月17日火曜日

原発が狙われたら … 福井県民が不安を訴える

 17日付 別掲記事の通り、北朝鮮労働党の幹部は米国から攻撃されて米朝戦争が始まれば、日本海側の原発がミサイルの標的になると語っています。
 こうした発言はこれまではなかったのですが、安倍政権になってから、米国と歩調を合わせて北朝鮮に圧力を掛け威嚇するようになったことで、北朝鮮の態度がここまで硬化しました。

 15の原発を抱える福井県民からは「原発が狙われたら、私たちはどうなるのか。何かあったときに、どうやって国民を守るのかその答えを示してほしい」と言う声が上がっています
 福井県の西川一誠知事921日、小野寺五典防衛相に原発の防御や自衛隊の基地整備・部隊配備を緊急要請したのに対して、小野寺防衛相は「イージス艦での対応や緊急時にはPAC3(地対空誘導弾パトリオット)部隊を速やかに展開する」と答えたということです。

 防衛相としてそのような建前論をいうしかなのでしょうが、湾岸戦争でイスラエルに設置された当時最新鋭のパトリオットPAC3)は、イラクから飛来するスカッドミサイルを殆ど迎撃できませんでした1。苦し紛れに米軍は「当たっているがその破片が落ちてきている」と述べたということです。
 当時イスラエルにいた日本の特派員がその状況を記事にして日本に届けましたが、米国のメンツを慮って掲載されなかったということです。
1 9月2日 政府演出の北朝鮮ミサイル「大騒動」の裏に何があるのか

 イージス艦による迎撃も、射程が延びただけで衝突させて迎撃する原理は同じです。
 ミサイルの飛来軌道を計算して衝突点を定めそこに向けて迎撃ミサイルを発射するわけですが、飛来ミサイルの秒速が5kmという高速下では、迎撃ミサイルの目標点到達時刻に±1万分の2秒程度の誤差が生じても衝突しません2
 実際には飛来ミサイルの軌道も迎撃ミサイルの軌道もそれぞれの計算値と完全に一致するわけではないので、命中精度はさらに大幅に落ちます。
2 8月22日 日本の末路は日米軍事同盟による破産

 従って迎撃ミサイル・システムに頼るのは無意味(福井県だけを特異的に防衛することも多分許されない)であって、原発を耐空爆仕様に作り直すことができない以上、停止させて核燃料を安全な場所に移動させるしかありません。
 使用済み核燃料プールの屋根は通常仕様なので、福島原発の例でも水素爆発で簡単に吹き飛びました。もしもミサイルが屋根を貫通して燃料プールを破損させ、プールの水がなくなれば広島原発の1000倍程度の核燃料が暴走を開始し、人は近づけなくなります。
 そうなれば少なくとも関西一帯が汚染され人が住めなくなります。
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原発狙われたら…4分で避難は無理 北朝鮮の脅威、福井県民が不安訴え
福井新聞 2017年10月16日
 日本上空を通過する北朝鮮のミサイル発射が続く中、今回の衆院選は安全保障問題が大きな争点になる珍しい選挙といえそうだ。15基の原発を抱える福井県民からは「原発が狙われたら、私たちはどうなるの?」といった不安の声が多く、嶺南の有権者は「何かあったときに、どうやって国民を守るのか。その答えを示してほしい」と訴えている。

■4分で避難?■
「05時58分ごろ、北朝鮮西岸からミサイルが東北地方の方向に発射されたもようです」。8月29日午前6時2分、内閣官房の緊急情報「Em―Net(エムネット)」の一報が、福井県や県内市町にメールで入った。

 北朝鮮が発射した弾道ミサイルは、北海道襟裳岬上空を通過し約2700キロ飛行、6時12分に太平洋上に落下した。全国瞬時警報システム(Jアラート)は12道県で鳴り響き、このうち9道県計24市町村で防災無線などの不具合が確認された。福井県や県内市町では、十数分おきに流れるエムネットの情報を正常に受信したという。
 北朝鮮は9月15日にも、日本上空を通過するミサイルを発射。県安全環境部の木村正二危機対策監は「これまでと(安全に関する)状況が違うことは明らか」と気を引き締める。
 二つの事例をみると、発射警報から日本上空通過まではわずか4~6分。国は「頑丈な建物や地下に避難する」などの行動例を示しているが、福井県連合婦人会の田村洋子会長は「4、5分で避難なんて無理。田舎なら近くにコンクリートの建物なんてない。結局なすがままだろうという不安を、みんな抱えている」と話す。

■無防備な印象■
 安倍晋三首相は今回の衆院選を「北朝鮮の脅威にいかに対応するかを決める選挙」と位置付ける。「対話か圧力か」といった外交の在り方が議論の中心になっているが、県民、とりわけ嶺南在住者にとっての直接的な不安は「北朝鮮の脅威が原発に向かいはしないか」ということだ。小浜市の男性(62)は「ミサイルで原発が狙われたら、われわれはどこへどう逃げたらいいのか」と話す。
 7月6日に高浜町を訪れた原子力規制委員会の田中俊一前委員長は、町民との意見交換会の席で「ミサイル攻撃を想定した対策は立てていない。原子力規制の範囲を超えている」と発言。「大型航空機落下対策があり、相応の対応はできる」と述べたものの、武力に対して無防備な印象を与えた。

■防衛相に要請■
 北朝鮮情勢が緊迫する中、西川一誠知事は9月21日、小野寺五典防衛相に原発の防御や自衛隊の基地整備・部隊配備を緊急要請。「地域の安全をいかに守るか、防衛上、万全の措置を講じてほしい」と訴えた。
 これに対し、小野寺防衛相は「イージス艦での対応や緊急時にはPAC3(地対空誘導弾パトリオット)部隊を速やかに展開する」と答えた。
 ただ、何を基準にどう展開し、県民の命を守るのか、明確なところは見えていない。おおい町の50代男性は「北朝鮮が日本を攻撃する場合、ターゲットは米軍基地か原発になるのではないか。安全保障が争点であれば、各政党には、特別危険な地域といえる沖縄や福井に関する安全対策や、緊急時の避難シミュレーションなどを示してほしい」と訴える。