福島原発の事故で、京都などに自主避難した男性がうつ病になり損害賠償を求めた二審裁判で、大阪高等裁判所は一審に続いて病気と事故との関係を認めましたが、「差別など事故に帰因しないストレスもあった」として、東京電力に対し一審よりも少ないおよそ1600万円の賠償を命じました。
一審の京都地裁はおよそ3000万円の支払いを命じていました。
原告代理人の井戸謙一弁護士は「避難生活で受けたストレスには東電に責任がないものもあるというのは極めて不当な判決。男性らは経済的に困っており、上告できるかはわからない」と話しました。
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原発自主避難でうつ病に 2審も東電に賠償命じるも減額
NHK NEWS WEB 2017年10月27日
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、福島から京都などに自主避難した男性がうつ病になり仕事もできなくなったとして家族とともに訴えた裁判で、大阪高等裁判所は1審に続いて病気と事故との関係を認めたうえで「差別など事故に帰因しないストレスもあった」として、東京電力に対し1審よりも少ないおよそ1600万円の賠償を命じました。
福島県に住んでいた40代の男性の一家5人は、原発事故のあと京都市などに自主避難し、その後、うつ病になって仕事もできなくなったとして、東京電力に賠償を求めました。
1審の京都地方裁判所は「自主避難のストレスが体調の悪化につながった」として、東京電力におよそ3000万円の支払いを命じていました。
27日の2審の判決で大阪高等裁判所の佐村浩之裁判長は「自主避難によって強いストレスにさらされ2年余りの間、うつ病で働くことができなかった」として1審に続いて病気と事故の関係を認めました。そのうえで「病気が悪化したのは差別や避難の長期化など事故に帰因しえないストレスもあった」として、1審よりも少ないおよそ1600万円の賠償を命じました。
判決のあと、原告の代理人の井戸謙一弁護士は「避難生活で受けたストレスには東京電力に責任がないものもあるというのは極めて不当な判決だ。家族も電話で『絶望した』と言っていた。男性らは経済的に困っており、上告できるかはわからない」と話していました。
東京電力「判決内容確認のうえ 対応検討」
判決について東京電力は「原発事故によって福島県民をはじめ多くの人にご迷惑とご心配をおかけし心からおわびします。今後、判決内容を確認したうえで対応を検討します」としています。