浜岡原発から半径5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)から同31キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)にまたがっている静岡県牧之原市は、11年に浜岡原発の永久停止を市議会で決議し、今期限りで退任する西原茂樹市長も永久停止を唱えてきました。
今年行われた市民の意識調査でも、浜岡原発を「停止しておいた方が良い」が51・7%でした。
そんな中で行われる市長選(22日投票)では、立候補を予定する3氏はいずれも浜岡原発の再稼働に慎重な立場のため、主張の違いが見えにくいという珍しい選挙になります。
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牧之原市長選 浜岡原発再稼働、争点化の気配なし
静岡新聞 2017年10月11日
一部の野党が公約で原発ゼロを掲げるなど衆院選で原発政策が争点の一つになる一方、投開票日(22日)が重なる牧之原市長選では争点にならない公算が大きい。立候補を予定する3氏は中部電力浜岡原発の再稼働に慎重な立場で、主張の違いが見えにくい。有権者からは「新市長として中電にどう安全対策を求めていくのか」などと活発な論戦を期待する声も聞かれる。
出馬を予定するのはいずれも無所属で元市議の大石健司氏(52)と前副市長の杉本基久雄氏(60)、内装工事会社役員で元旧相良町議の名波力氏(71)。大石、杉本両氏は「将来的に原発はない方がいい」「(再稼働には)安心安全の担保と5割を超える市民の賛同が必要」などと口をそろえる。名波氏も地震のリスクや北朝鮮情勢を引き合いに「再稼働に賛成ではない」と表明。2日の公開討論会で原発はテーマとならず、3氏が自ら発言することもなかった。
市内は、浜岡原発から半径5キロ圏の予防防護措置区域(PAZ)と同31キロ圏の緊急防護措置区域(UPZ)に分かれている。原発事故時に甲状腺被ばくを防ぐ安定ヨウ素剤の事前配布は現在、PAZ圏の市民に限定されているが、杉本氏と名波氏は「UPZ圏の市民に配布範囲を広げる必要がある」。大石氏も「希望する(UPZ圏の)市民には配布するべき」と主張する。
ある60代主婦は「浜岡原発は止まっているとはいえ、使用済み核燃料がある。絶対に安全とは言えない」と懸念を隠さない。市の広域避難計画はまだ公表されていない。30代主婦は「早急に示し、市民への周知徹底を図って」と注文を付ける。
市議会は11年、浜岡原発の永久停止を決議し、今期限りで退任する西原茂樹市長も永久停止を唱えてきた。市の17年度市民意識調査によると、浜岡原発を「停止しておいた方が良い」は51・7%と過半数に達している。