甘利経済再生担当大臣は、東電が柏崎刈羽原子発の安全審査を申請することに反対している新潟県の泉田知事と来週会談し、申請を容認するよう働きかけるということです。
「国民の安全に関わることは、いろいろな政治論とか情緒論を持ち込まないで、科学的に冷静に対処したほうがいい」と述べたということですが、何を言っているのか分かりかねる話です。
先に泉田知事と東電社長の会談が物別れに終わったとき、多くの新聞が「知事の反対は当然であり、東電に無理がある」とする社説を掲げました。
このたびの福島原発の汚染水の海洋流出の件でも、「東電に任せて置けない(読売)」、「公表遅れ 4回機会を逃す(産経)」、「対策不足 社長減給(日経)」などと、5大紙を含めた各紙がこぞって東電の無能力と隠蔽体質を批判しています。
社長が公表の3日前には知っていたのに、公表するのを投票日の後に遅らせた東電の「政治的配慮」も勿論非難の的です。
そんな風に電力会社が政府に配慮し、政府は電力会社のために理不尽な再稼動を進めるという、両者のもたれあいにこそ問題があります。
原発にはいまや何の優位性もなく、河野康子氏(消費者団体連絡会 事務局長)が言うように、「原発は、安くも、エコ(=無公害)でも、安全でもない」ことは周知の事実となりました。それにもかかわらず「原発再稼働をもっと速く」と主張する経団連こそは、非科学的で、情緒的で、政治的であり、もはや再稼動自体が自己目的化しているとしか言いようがありません。
甘利大臣の発言は自らへの戒めとすべきでしょう。(^○^)
以下にNHKニュースとしんぶん赤旗の記事を紹介します。
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甘利大臣 新潟県知事と会談へ
NHK NEWS WEB 2013年7月26日
甘利経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請することに反対している新潟県の泉田知事と来週会談し、申請を容認するよう働きかける考えを示しました。
東京電力は、重大な事故への対策を義務づけた原発の新たな規制基準が施行されたことを受けて、柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請する方針ですが、新潟県が反発していて見通しは立っていません。
これについて甘利経済再生担当大臣は、閣議のあとの記者会見で、「国際基準で安全審査をしてはいけないという理屈は立たない。国民の安全に関わることは、いろいろな政治論とか情緒論を持ち込まないで、科学的に冷静に対処したほうがいい」と述べました。
そのうえで、甘利大臣は、「安全に関わる手続きはできるだけ早く進めたほうがいい。知事にも理解してもらえると思う」と述べ、新潟県の泉田知事と来週会談し、東京電力が安全審査を国に申請することを容認するよう働きかける考えを示しました。
経団連 「原発再稼働もっと速く」 経産省調査会で要求
しんぶん赤旗 2013年7月26日
経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会は24日、エネルギー基本計画の策定に向け民間4団体から意見を聞き取りました。この中で、日本経団連は原発の再稼働のスピードを可能な限り速めるよう求めました。
経団連は、原子力について今後も活用していく電源だとし、「エネルギー基本計画では原子力の重要性を明確にすべき」だと主張。再稼働を速めるため、独立行政法人原子力安全基盤機構の人材を活用し、再稼働の審査人員を拡充するよう求めました。また、本来、電力会社が負担すべき放射性廃棄物の処理や使用済み燃料の再処理、原発事故の損害賠償について、「国はより積極的な役割を果たすべき」だとしました。
一方、再生可能エネルギーの普及を促進している固定価格買い取り制度と地球温暖化対策税については、廃止も含めた抜本的見直しを求めました。
日本商工会議所も速やかな原発再稼働を要求しました。全国消費者団体連絡会の河野康子事務局長は、「原発は、安くも、エコでも、安全でもない」と主張しました。