政府などの「原発のコストが安い」という言い分が、使用済み核燃料の処理費用や、年間4,500億円といわれる原子力村のための経費、さらには原発立地自治体への交付金などを除外したインチキなものであるということも、今や広く知れ渡りました。
また国内に50基ある原発のうち、使用済み核燃料プールの残りの容量が6年分以下の原発が33基で、12年分以上ある原発は僅かに3基に過ぎないため、仮に再稼動したとしても数年で次々と稼動停止に追い込まれるという決定的な状況もあります。
(2013年1月24日「柏崎刈羽原発 県民投票条例案を県議会が否決」中の12.9.4付東京新聞の記事を参照 http://yuzawaheiwa.blogspot.jp/2013/01/blog-post_24.html )
それに加えて最近、2020年代には核燃料の需要と供給のバランスが崩れるために核燃料が高騰し、それによって世界中の原発が崩壊するに至るという研究結果が英国誌「ザ・ガーディアン」に発表されました。
これはこれまでにはなかった全く新しい視点です。
ウランが無尽蔵でない以上いつかは必然的にその段階を迎えるわけですが、これまではまだ遠い将来のこととして、その具体的な検討をして来ませんでした。
ウランが無尽蔵でない以上いつかは必然的にその段階を迎えるわけですが、これまではまだ遠い将来のこととして、その具体的な検討をして来ませんでした。
そういうわけで、もはやあらゆる意味で原発に将来性はありません。
いたずらに再稼動に進もうとしている安倍政権には、そうした現実が何も見えていないようです。
いたずらに再稼動に進もうとしている安倍政権には、そうした現実が何も見えていないようです。
7月12日・13日のブログ「星の金貨」に掲載された記事「2020年代、暴騰するウラン燃料コストが、世界中で原子力発電を崩壊させる!」の要約版を事務局で作成しました。
以下に紹介します。原文は記載のURLにアクセスしてご覧ください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2020年代、暴騰するウラン燃料コストが、世界中で原子力発電を崩壊させる!
(事務局要約版)
ナフィーズ・アフメド 「ザ・ガーディアン」(英国) 7月2日
星の金貨 2013年7月12日・13日
このまま原子力発電を続ければ、世界は深刻な電力不足に陥る
原子力発電のウラン燃料は2025年以降、生産量が急速に減少していく
英国・米国両政府は、原子力発電を大量の電療供給を実現するクリーン・エネルギーとと位置づけているが、燃料となるウランの生産に関する最新の研究は、2020年以降は需給がひっ迫し、ウランの価格が絶えず上昇を続ける状況が生まれ、もはや原子力発電の継続が困難になるだろうと警告している。
この研究はこれまでのウランの埋蔵量、採掘実績、そして現在の採掘状況を分析し、得られたデータを基礎にしたもので、世界のウラン採掘量は2015年の58キロトンをピークに減り続け、2025年には54キロトンに減少、2030年になるとその採掘量は急激に減少し、最大でも41キロトンにまで減少すると予想している。
科学雑誌、『総合環境科学』※に掲載された、この研究報告書の査読者は次のようにコメントしている。
「このウラン生産量では、2020年代、そして2030年代において、既存の原子力発電所と現在建設中・計画中の原子力発電所すべてに、燃料を行き渡らせることが出来なくなる。
この事態を避けるためには原子力発電を段階的に廃止していく必要があり、そのペースが年に1%以下では、2025年に世界の原子力発電所において燃料が手に入らないという事態を避けることが出来ない。
このような状況から、我々は世界中で原子力発電を段階的に廃止していくことこそが、正しい選択であると提言せざるを得ない。」
▽危険で愚かな英政府の選択
しかしイギリス政府はつい先週原子力発電事業に対し、日本円で1兆5,000億円の財政援助を発表した。これは原子力発電を中核に据えるという英国のエネルギー戦略を一層強化するものだ。
これが現実のものになれば、原子力発電は2050年までに75GWの発電能力を実現し、英国の電力の86%に相当する。
たしかに最近の5年間で合計で250キロトンの生産が実現したが、増産に次ぐ増産は、多少粗悪な鉱石からも原料を抽出するという状況を生み出し、平均して、ウランの抽出能力はかつての50~70%に低下してしまっている。
今後新たに開発予定の鉱山も、現在採掘がおこなわれている鉱山の生産量の低下を補うまでには至らない。
このまま原子力発電を続ければ、世界は深刻な電力不足に陥る
原子力発電を中核に据えるエネルギー戦略は、今後10年以内に行き詰る
▽緻密に計算された原子力発電の段階的廃止が必要
2025年にウラン燃料の供給崩壊が起きないようにするためには、世界は「緻密に計算された原子力発電の段階的廃止」を進める必要がある。
報告書が示すもう一つの選択肢は、アメリカとロシアが軍事用として貯蔵するウラニウムを、2013年から直ちに市場に放出することだが、アメリカもロシアも、『原子力発電の段階的廃止』を選択してはいない。
結局、ウラン燃料の爆発的高騰により、世界の原子力発電は原料調達の不能と発電ストップという混乱の中で、それ以上の継続不能により次々止めざるを得なくなっていく。
そして英国が今回採用した、原子力発電を中核に据え、国内の電力需要を賄っていくというエネルギー戦略は、今後10年以内に崩壊することになる。
米国、中国とインドはいずれもこれからの数十年間、原子力発電による電力生産を増やしていくことになっているが、彼らは英国同様、今後ウラン燃料の調達が難しくなるという問題を見落としている。
アメリカは今後2、3年以内に、老朽化した原子炉を順次廃炉にしていくか、それともアメリカ軍が貯蔵している軍用のウランを市場に放出するか、いずれかの決断を迫られることになる。
中国も似たような難しい状況に直面している。2008年には6基、2009年9基、2010年10基と3年間で25基の原子炉を建設したが、2011年以降に建設が開始されたのは4基だけで、福島第一原発の事故発生以前にブレーキがかかり始めている。
英政府も、これからの10年間 計画通りに原子力発電を行うために必要なウラン燃料の総量について、詳細な計算を行っていないはずである。ディットマー博士が実際にこの質問を英国エネルギー省に対し行ったところ、同省のスポークスマンは
「ことは商取引上の極秘事項に該当するものであり、回答することはできない。」と断り、「質問そのものが、回答することが難しい技術的問題を抱えている。」と述べた。
<完>
※ナフィーズ・アフメド博士は、英国の政策調査・開発研究所の役員