2013年7月8日月曜日

5つの原発が運転再開に向けて申請 理念なき再稼動

 
 原発の新規制基準が施行される8日、4電力の5つの原発が再稼動を申請するということです。その中には関電大飯原発(3、4号機)も含まれています。
 追って12日には、九電玄海原発(3、4号機)が再稼動を申請をします
 東電の柏崎刈羽原発(6、7号機)も早期に申請したいものの、地元新潟県の強い反発にあっているためいつ申請するか検討しているということです。
 
 柏崎刈羽原発の再稼動申請に対しては、7日にも3つほどの新聞が批判の社説を掲げました。
 そのひとつ河北新報(福島県)は「理念なき再稼働は危うい」と題して、福島原発事故ではっきりしたのは絶対的な安全性はあり得ないということこれから何十年も廃炉作業に取り組企業が、その一方で別の原発を運転するというのは理解に苦しむ自民党政権は原子力規制委安全性を認めれば再稼動を認めるという立場だが、原子力を取り巻く閉塞状況核廃棄物の最終処分ができない=の打開策の手掛かりもないなかで運転を認めるのは無責任でしかない、と断じています

 原発推進政策に逆戻りしようとしている自民党は、この「理念なき再稼動」という批判にキチンと答える義務があります。

 以下にNHKニュースと河北新報の社説を紹介します。 
 
 註.掲載を割愛した2紙の社説のURLを以下に記します。
    社説 柏崎刈羽原発/東電に動かす資格あるか 神戸新聞   77
    社説 柏崎刈羽原発 再稼働ありきの計画見直せ 熊本日日新聞  77
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5原発 運転再開に向け申請へ
NHK NEWS WEB  2013年7月7日
東京電力福島第一原子力発電所の事故を教訓に、重大な事故への対策を初めて電力会社に義務づける原発の新たな規制基準が、8日施行されます。
これに合わせて、8日、早期の運転再開を目指す電力会社4社が、5つの原発について新基準に基づく審査の申請を国の原子力規制委員会に行います。

原発の新たな規制基準は、これまで電力会社の自主的な取り組みに任されてきた、おととしの原発事故のような重大な事故への対策を初めて義務づけるほか、地震や津波の想定をより厳しく評価するよう要求するもので、8日施行されます。
停止中の原発が運転を再開するには、事故の対策や地震などの評価が新基準に適合することが前提になっていて、電力会社4社が5つの原発について、8日午前、安全審査の申請を原子力規制委員会に行います。
申請をするのは、北海道にある北海道電力泊原発の1号機から3号機、福井県にある関西電力の大飯原発の3号機と4号機、高浜原発の3号機と4号機、愛媛県にある四国電力伊方原発の3号機、それに鹿児島県にある九州電力川内原発の1号機と2号機の合わせて10基です。
これらの原発は、いずれも福島第一原発とは異なる「加圧水型」と呼ばれるタイプで、運転開始から30年に満たない比較的新しいのが特徴です。
このほか、九州電力は佐賀県にある玄海原発の3号機と4号機について、今月12日に申請を行う予定です。
一方、東京電力は福島第一原発と同じ「沸騰水型」の柏崎刈羽原発の6号機と7号機について、早期の申請を目指していますが、地元新潟県が反発しているため、申請の時期を検討しています。
規制委員会は、原子力規制庁の職員を中心に3チームを編成し80人で審査に当たりますが、1つの原発にかかる期間について「少なくとも半年以上」としていて、審査を年内に終えるのは難しいとみられています。
また、審査が終わっても、電力会社が運転を再開するためには、地元自治体の同意を得る必要があり、再開の具体的な見通しは立っていません。

’13参院選 原子力政策/理念なき再稼働は危うい
河北新報 2013年7月7日
 原子力発電は一体、どこへ向かおうとしているのか。将来像についての議論は不在のまま参院選に突入した。
 日から原発の新たな規制基準が適用され、北海道、関西、四国、九州の4電力が早速、再稼働に備えて計5原発10基の安全審査を申請するとみられる。参院選のさなか、停止していた原発の再稼働を目指す動きが本格化する。
 東京電力も柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全審査申請を検討しているというから、驚くばかりだ。
 福島第1原発事故で放射能汚染を引き起こし、これから何十年も廃炉作業に取り組まなければならない企業が、その一方で別の原発を運転するというのは理解に苦しむ。
 再稼働に対し、自民党政権は原子力規制委員会によって安全性が確認されれば認めるという立場だが、原子力を取り巻く閉塞(へいそく)状況に変わりはない。核廃棄物の最終処分方法については、何の進展もない。
 再稼働が進めば使用済み核燃料は増え続け、今後の処分がさらにやっかいになっていく。解決策の手掛かりも示さないまま運転を認めるのは、無責任でしかない。
 原子力の安全性に対する根本的な疑問も拭い去られたとは思えない。福島第1原発事故によって、炉心溶融(メルトダウン)という極めて深刻な事故が現実になった。
 大量の放射性物質をばらまいて福島県などを汚染し、いつになったら戻れるのか見通しが立たない地域がいまだにある。福島第1原発事故ではっきりしたのは、絶対的な安全性はあり得ないということだ。
 各党の参院選の公約では、自民党を除けば濃淡はあるにせよ、おおむね「脱原発」を志向している。自民党と連立を組む公明党も「速やかに原発ゼロを目指す」という内容だ。
 原子力の当面の課題は、再稼働を認めるかどうか。実現までの道筋ははっきりしないが、規制委が技術的な安全性を認めたならば、国と地方の双方で政治レベルの判断が求められるとみられる。
 目先にとらわれず、将来の電源構成や核廃棄物の処分などを総合的に考え合わせて、判断すべきだ。長期プランがないままやみくもに決めてしまうのは、さまざまな問題の先送りにしかならない。
 仮に新基準を満たしたとしても、決して重大事故に至らないなどということは誰も保証できないだろう。目を向けるべきは、事故は起きると仮定して、その影響がどこまで深刻化し、いつまで続くかではないか。福島第1原発事故という判断材料が現にある。
 広い意味の安全性であり、原子力発電技術を採用していくのかどうかは、事故の影響度も大切な尺度になるはずだ。
 その視点がもし欠けていたならば、福島第1原発事故はなかったに等しくなる。そんなことが許されるわけがない。