放射線影響研究所は4日、広島と長崎の被爆者の健康を追跡調査した結果、被爆から56年後でも、被爆していない人に比べて白血病にかかるリスクが約2倍残ることが判明したと発表しました。被爆者約9万4千人を追跡調査したものです。
チェルノブイリの原発事故に関しても、除染などに関わって放射線を浴びた作業員約11万人(被曝量の積算値は100ミリシーベルト未満の人がほとんど)を20年間にわたって追跡調査した結果、白血病の発症リスクが高まることが確認されています※。
※ 2012年11月9日「低線量放射能でも白血病の発症が明らかに」
これらのことからも「100ミリシーベルト以下であれば健康に全く影響がない」、あるいは「健康に良い」という山下俊一氏(福島医大副学長)らの発言が誤っていることが分かります。
以下に東京新聞の記事と、チェルノブイリ事故関連の放射能の影響に関する昨年11月の日経記事を紹介します。
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被爆から56年後も白血病リスク2倍、放影研が調査
東京新聞 2013年7月4日
放射線影響研究所(放影研、広島市・長崎市)は4日、広島と長崎の被爆者の健康を追跡調査した結果、被爆から56年後の2001年時点でも、被爆していない人に比べて白血病にかかるリスクが約2倍残ることが判明したと発表した。
調査は1950~01年に被爆者約9万4千人を追跡調査、1215人に白血病やリンパ腫などの悪性血液疾患が見られた。これを統計的に処理し、うち94人を「放射線被ばくと関連して発症した」と推定した。その数値を使い、被爆者の血液疾患にかかりやすくなる危険性を分析した。(共同)
チェルノブイリ 除染で被曝、低線量でも白血病リスク
日経新聞 2012年11月8日
【ワシントン=共同】 チェルノブイリ原発事故の除染などに関わって低線量の放射線を浴びた作業員約11万人を20年間にわたって追跡調査した結果、血液がんの一種である白血病の発症リスクが高まることを確かめたと、米国立がん研究所や米カリフォルニア大サンフランシスコ校の研究チームが米専門誌に8日発表した。
実際の発症者の多くは進行が緩やかな慢性リンパ性白血病だったが、中には急性白血病の人もいた。調査対象者の被曝(ひばく)線量は積算で100ミリシーベルト未満の人がほとんど。高い放射線量で急性白血病のリスクが高まることは知られていたが、低線量による影響が無視できないことを示した形だ。
チームは1986年に起きたチェルノブイリ事故で作業した約11万人の健康状態を2006年まで追跡調査。被曝線量は積算で200ミリシーベルト未満の人が9割で、大半は100ミリシーベルトに達していなかった。
137人が白血病になり、うち79人が慢性リンパ性白血病だった。統計的手法で遺伝などほかの発症要因を除外した結果、チームは白血病の発症は16%が被曝による影響と考えられると結論付けた。
これまでに広島や長崎に投下された原爆の被爆者の追跡研究でも、低線量被曝による健康影響が報告されており、線量が低ければ健康影響は無視できるとの主張を否定する結果。
チームはコンピューター断層撮影装置(CT)など、医療機器による被曝影響を評価するのにも今回の研究が役立つとしている。