2013年7月21日日曜日

原発事故・・・この3冊

 
 毎日新聞の「今週の本棚」に小泉武夫氏が選んだ「この3冊:フクシマの原発」が掲載されました。
 <1>福島原発の真実』 福島原発へのプルサーマル導入に反対しついには原発の存続をも問題視し、弾圧されたという前福島県知事による福島原発事故解剖書が魅力的でない筈はありません。読書欲をそそられます。
 そしてこの際
 <2>日本の原子力施設全データ を通じて国内の原発の全容を知るということも必要なことに思われます。
 一般人にも分かりやすく書かれているということですし、この種の本としては価格も手ごろです。
 そして体内に入った放射性物質を排出させるのに日本古来の
<3>味噌力(みそりょく)』 が有効だということです。
 いまや東日本一帯の山菜などは多かれ少なかれ放射能に汚染されていると考えるべきだといわれています。こうした中では一層地道な健康法を指向したいものです。
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今週の本棚・この3冊:フクシマの原発=小泉武夫・選
毎日新聞 2013年7月21日

 <1>福島原発の真実 (佐藤栄佐久著/平凡社新書/777円)
 <2>日本の原子力施設全データ 完全改訂版−「しくみ」と「リスク」を再確認する
      (北村行孝・三島勇著/講談社ブルーバックス/1113円)
 <3>味噌力(みそりょく) (渡邊敦光(ひろみつ)著/かんき出版/1365円)

 私が生まれたのは福島県いわき市に接する田舎町で、東京電力福島第1原子力発電所から約40キロ圏内である。250年も続いてきた酒造蔵に生まれ、小さい時からそこに育ち、山も川も美しく、空気もうまかった。その古里が2011年3月12日の福島原発の水素爆発で、全てが一変し地獄模様になってしまった。無念でならぬ。原発事故後、それに関わる何十冊という本を読んだ中で心に残る三冊を以下に述べる。

 最初の一冊は『福島原発の真実』である。著者は前福島県知事。現職の時から東京一極集中に異議を唱え、原子力発電所の存続さえ問題視していた立場にあったので、実に迫力ある内容で福島原発の事故を解剖している。その内容とは、国が操る「原発全体主義政策」の病根を嘘(うそ)と欺瞞(ぎまん)の塊としてとらえ、プルサーマル凍結から核燃料税の攻防、さらには原子炉運転の停止に至るまでを鋭く抉(えぐ)って、これらのことの根源や病巣が今回の原発事故を引き起こしたのだ、としている。中でも国と東京電力とのただならぬ癒着や、信頼の置けない原発政策に対して、国や東京電力に向かって全面対決してきたのには強い信念が読み取られるのである。

 二冊目は『日本の原子力施設全データ』である。福島原発事故以後、多くの国民は原子力発電のことをもっと知ろうと思ったが、しかし専門書では難しく、ジレンマを抱えていた時に、この本は一般人でも実に分かりやすく解説しているので、私も大変助かった。

 例えば「原子力発電とは何か」「原子力でどのように電気が生まれるのか」「安全システムはどうなっているのか」「軽水炉・重水炉・高速増殖炉とは」などが理解しやすく述べられている。そして、福島原発事故後から今現在に至る日本の原子力施設の全データが詳しく述べられているのはとても参考になる。

 三冊目は『味噌力』である。本のタイトルを見て意外に思う人もいようが、著者は広島大学原爆放射線医科学研究所名誉教授で、体内に入った放射性物質を食事療法で体外に排泄(はいせつ)させる研究では世界で最も権威のある研究者である。
 この本は味噌やヨーグルト等の免疫力を有する発酵食品を摂取することにより、体内から効率よく放射性物質を排泄させるための研究データまで付けて解説しているので、とても説得力がある。いずれにしてもこの三冊によって私は大いに勉強になった。