日本原子力発電(原電)は16日、原子力規制委員会に対し、行政不服審査法に基づく異議申し立てを行いました。規制委が敦賀原発2号機の原子炉建屋直下に「活断層」があるとの判断に基づいて、保管中の核燃料の安全性評価などを命じたことを不服としたものです。
規制委は今後、異議申し立てには相応の理由があるとして受け入れるか、棄却するか決めますが、棄却した場合には、原電は国を相手取り命令の取り消しを求める訴えを起こすことができます。
事業者が国の命令に異議を唱えるのは異例のことですが、原電は原発の建設・運転・管理を目的に設立された会社なので、現在管理している敦賀原発と東海第2原発が再稼動できないと、存立の根拠が失われることが背景にあります。
そのために危険な原発を再稼動するなどは論外ですが、一旦は国が認可したからここまで来たという経緯を考えれば、国にもその責任があることは確かです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
敦賀原発「断層」異議申し立て
NHK NEWS WEB 2012年7月16日
福井県の敦賀原子力発電所の2号機の断層を巡って、国の原子力規制委員会が「活断層だ」と判断し、燃料への影響などを報告するよう命じたことについて、日本原子力発電は「判断は事実誤認だ」として、命令を取り消すよう求める異議申し立てを行いました。
敦賀原発2号機を巡っては、原子力規制委員会がことし5月、「真下の断層は活断層である」と判断したうえで、日本原子力発電に対し、プールに貯蔵している燃料1700本余りについて、活断層が動いた場合の影響や対策を報告するよう命じました。
これに対し、日本原子力発電は「追加調査で活断層ではないことを確認していて、規制委員会の判断は事実誤認だ」として、命令を取り消すよう求める異議申し立てを行いました。
日本原子力発電の島守哲哉総務室長は「活断層ではないと自信を持って確認できた。真摯(しんし)な検討をお願いしたい」と話しました。
これに対し、原子力規制庁は「申し立てを精査し、対応を検討したい」としています。
一方で日本原子力発電は、命令が取り消されなかった場合、燃料への影響などを報告しなければ罰則があることから、申し立てとは別に、期限の今月末までに報告をするということです。
国の規制基準では、原子炉の真下に活断層があることを認めておらず、敦賀原発2号機は廃炉になる可能性がありますが、規制委員会は「新たな知見が得られれば判断を見直すこともある」としています。