2013年7月23日火曜日

東電が汚染地下水の海への流出を認める +

 東電は初めて放射能汚染水(地下水)が海に流出していることを認めました。
 水質測定用の井戸水中に高濃度の放射能汚染があることが明らかになってからも、東電はこれまでデータの蓄積がないので判断できないして海への流出を認めることを避けてきましたが、見るに見かねた原子力規制委から今月10日、「高濃度の汚染水が地中に漏れ出したうえで海へ広がっていることが強く疑われる」と指摘されて、ついに認めざるをえなくなったものです。
 東電は、潮位変動と井戸水の水位の連動や、降雨と井戸水の水位との関係などから、原発敷地と海との間で水の行き来があると判断したということです。

 地下水の汚染レベルは19日の発表では、ベータ線を出す放射性物質が最大で1リットル当たり6億7000万ベクレルもあるということです(汚染水の海への日流出量等は不明)。
 東電は、排出先は原発の専用港の港湾内に限定されていると言っていますが、別に外洋との間に仕切りがあるわけではないので、海に流出した物質は潮の満ち干などに伴っていずれ外洋へと移動・拡散することは明らかです。
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東電 汚染水の海への流出認める
NHK NEWS WEB 2013年7月22日
福島第一原子力発電所の海に近い観測用の井戸の地下水から高い濃度の放射性物質が検出されている問題で、東京電力は「地下水が海に流れ出しているとみられる」として海への流出を認める見解を初めて示しました。
海への影響については、原発の専用港の範囲にとどまっているとしています。

福島第一原発では、ことし5月以降、海側の観測用の井戸の地下水で高い濃度の放射性物質が検出され、東京電力で原因や海への影響を調べていました。
ことし1月から今月までの井戸の地下水の水位と、海の潮位、それに雨の量のデータを分析した結果、山側から海側への流れがある地下水の水位が下がった分は海に流れ出しているとみられるとして、海への流出を認める見解を初めて示しました。
この問題で国の原子力規制委員会は、今月10日、「高濃度の汚染水が地中に漏れ出したうえで海へ広がっていることが強く疑われる」と指摘しましたが、これまで東京電力はデータの蓄積がないとして、判断できないとしていました。
海への影響の広がりについては、原発の専用港の護岸に近い場所で、放射性トリチウムの濃度が高まっている一方、専用港の出口や沖合では濃度は低く、範囲は限定されていると説明しています。
東京電力は、海への流出防止の対策として、井戸の近くの護岸沿いの地盤を固める工事を進めていますが、工事の範囲をさらに広げて、対策を強化することにしています。

汚染水問題の経緯
海側にある観測用の井戸の水では、ことし5月以降、放射性物質の濃度が上昇していることが分かりました。
2号機の海側にある井戸で、放射性物質のトリチウムとストロンチウム90の濃度が国の海への排出基準よりも高い値で検出されたのです。
データの変化は海水でも明らかになりました。
1号機の海側にある取水口付近で、ことし4月までの1年ほどほぼ一定だったトリチウムの濃度が上昇し始め、今月3日には1リットル当たり2300ベクレルと、4月の20倍以上になりました。
今月10日、国の原子力規制委員会は「高濃度の汚染水が地中に漏れ出したうえで海へ広がっていることが強く疑われる」という見解を示しましたが、一方の東京電力は「具体的なコメントを出せるだけのデータ蓄積はない」として判断できないとしていました。
 
福島第1原発:汚染水海洋漏れ、地元漁民ら怒り
毎日新聞 2013年07月22日
 「やっぱりか」「なぜ今日なのか」。東京電力福島第1原発の敷地内で出た放射性汚染水について、22日、懸念されていた海洋漏れが「あった」と認めた東電に対し、原発事故の影響で漁自粛が続く福島県の地元漁協は怒りをあらわにした。計り知れない風評被害の拡大へ不信感や危機感をのぞかせた。【中尾卓英、神保圭作、高橋秀郎】

 福島県いわき市沿岸では今年9月から、シラスなどの試験操業が原発事故後で初めて開始される予定で、この日は地元で漁協組合長らが専門家を交えて協議していた。その後飛び込んだ最悪のニュースだった。県内のある漁協関係者は「海に流れているのではないかということはうすうす感じていた」と話し、別の漁業関係者は「選挙が終わった日になぜ」と話していた。
 東電の新妻常正常務らは22日午後3時半、汚染水が海へ漏えいしている事実を説明するため、いわき市の県漁連を訪問。頭をさげる常務らに、対応した県漁連の野崎哲会長や、いわき市漁協、相馬双葉漁協の組合長は硬い表情で「風評被害につながる。ショックは大きい。とにかく早く漏えい対策を取ってほしい」と迫ったという。
 県漁連と東電は、たまり続ける汚染水対策の一環として地下水をくみ上げ海に放出する「地下水バイパス」の稼働を巡り、議論を続けている。県漁連の幹部は「(今回の汚染水漏れの)影響は大きい。組合員へも説明を続けているが、反発は避けられない」と話す。