甘利明経済再生担当相は30日、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)の安全審査をめぐり新潟県の泉田裕彦知事と東京都内で会談(非公開)し、原子力規制委員会による審査への東電の申請を了承するよう理解を求めましたが、泉田知事は「審査自体が不十分で認められない」などと述べ、会談は平行線に終わりました。
甘利大臣は「世界一厳しいとされる規制基準のチェックを受ければ原発の安全性は高まる」と審査を容認するように求めましたが、泉田知事は、「新たな規制基準は機械の性能だけを審査するもので、安全審査としては不十分で認められない」と述べました。
新規制基準によれば安全性は以前に比べれば多少アップしますが、泉田知事がいうとおり不備も沢山あり、決して安心できるレベルというわけではありません。
泉田知事はまた「今後のとりまとめは規制委が対応しなければいけない。権限がある規制委に説明責任がある」として、知事の要請に対応してこなかった田中俊一委員長の責任に触れました。
新潟日報とNHKニュースの記事を紹介します。
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泉田知事、甘利担当相と会談 申請めぐり「すれ違い」
新潟日報 2013年7月30日
泉田裕彦知事は30日午前、東京電力柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働に向けた安全審査の申請問題について、内閣府で甘利明経済再生担当相と会談した。知事は会談後、取材に対し「(原発の安全性や審査に対する)懸念を伝えた。すれ違いだった」と述べた。早期審査の必要性を訴えた甘利氏も「すれ違いだった」と話し、議論がかみあわなかったことを明らかにした。
知事は柏崎刈羽原発の過酷事故対策であるフィルター付きベント設置について、県が安全協定に基づく事前了解を与えるまで審査の申請をしないよう東電に求めており、会談後も考えに変わりがないことを強調した。
会談は「大臣側の意向」(泉田知事)で非公開で行われた。知事は過酷事故の際に放射性物質を放出するフィルター付きベントの設計や、ベントに対する原子力規制委員会の審査が地元自治体の住民避難計画を踏まえていないなどの問題点を伝えたという。
会談後、知事は取材に対し、申請をめぐる東電の広瀬直己社長との再会談について、事前調整の段階で県の質問に東電が十分な回答をしていないとして不満を示した。「東電は誠意を持って対応し、情報隠蔽(いんぺい)はやめてほしい」と訴えた。
甘利氏は会談後の取材に「厳しくなった新基準で審査をすることは悪いことではないと伝えたが、すれ違いだった」と話した。2007年の中越沖地震で柏崎刈羽原発が被災した際に経済産業相として対応に当たるなど電力や原発の問題に詳しく、知事の懸念については「担当大臣に回答するようアドバイスしたい」と述べた。
原発再稼働問題を担当する茂木敏充経産相は30日午前の閣議後会見で、甘利氏から閣議前に行われた知事との会談内容について説明を受けたことを明らかにした。
柏崎刈羽の審査申請をめぐり、泉田知事は東電が地元に説明をしないまま早期申請方針を決めたことに反発。東電の広瀬社長が5日に知事と会って理解を求めたが物別れに終わった。
甘利氏は9日の閣議後会見で「(規制委に)安全かどうかを判断させないというのは、(知事の)誤解ではないか」と発言。泉田知事は「誤解しているわけではない」として会談を求めていた。
甘利大臣と新潟県知事 会談は平行線
NHK NEWS WEB 2013年7月30日
甘利経済再生担当大臣は、新潟県の泉田知事と会談し、東京電力が柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請することを容認するよう求めたのに対し、泉田知事は、「安全審査には不備がある」などと反発し、会談は平行線に終わりました。
東京電力は、重大な事故への対策を義務づけた原発の新たな規制基準が施行されたことを受けて、柏崎刈羽原子力発電所の安全審査を国に申請する方針ですが、新潟県がこれに反発していて、申請の見通しは立っていません。
こうしたなか、甘利経済再生担当大臣は、内閣府で新潟県の泉田知事と会談し、「知事の心配は真摯(しんし)に受け止めるが、新たな規制基準は世界一厳しいとされ、チェックを受ければ現状より原発の安全性は高まる。安全審査を受けることと、再稼働の判断は別問題であり、安全性を高める不断の努力をすべきだ」と述べ、申請を容認するよう求めました。
これに対し、泉田知事は、「原子力規制委員会に意見を申し上げても、なかなか取り合ってもらえない。原発の安全審査には不備がたくさんある」などと反発し、会談は平行線に終わりました。
このあと、甘利大臣は、記者団に対し、「会談はすれ違いだった」と述べました。