3日、原子力規制委は8日の原発新規制基準の施行を前にして、稼働中の大飯原発3、4号機の、9月に定期検査入りするまでの運転継続を容認することを正式に決めました。
原発の新しい規制基準をすべて満たしていなくても、運転停止を求めるほどの危険はないという判断に基づくもので、正規の審査を経たものではありません。
もともと大飯原発の再稼動は、野田政権時代既に活断層の危険性が問題になっていたにもかかわらず、確か「私が責任を持つ」という野田氏の意味不明な発言の元に、慌しく行われたのでした。
その後原子力規制委員会という新体制ができ新規制基準が施行されるのを機に、そうした曖昧性を一新して欲しかったのですが、残念ながら現状追認の姿勢のままで推移しています。
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大飯運転継続を容認 規制委決定 正規審査経ず
東京新聞 2013年7月3日
原子力規制委員会は三日、国内で唯一運転中の関西電力大飯原発3、4号機(福井県おおい町)が、九月に定期検査入りするまでの運転継続を容認することを正式に決めた。正規の審査を経ていないが、原発の新しい規制基準をすべて満たしていなくても、運転停止を求めるほどの危険はないと判断した。
ただ、委員五人のうち田中俊一委員長を含む三人が関電の安全への意識の低さを指摘。関電は対策を小出しにし、規制委が運転継続を容認する最低線を探ろうとしたほか、地盤の状況把握の重要性を十分認識していないなどと批判した。
規制委は四月から、3、4号機が原発の新しい規制基準に適合しているか、確認作業を続けてきた。六月には現地調査をし、事故時の作業拠点の設備不足や、非常時の取水地点に金網があって障害となるなどの不備を指摘した。関電は六月末までに必要な設備をそろえ、指摘された点を改善したと報告し、規制委事務局の現地保安検査官が確認した。
新基準は今月八日に施行され、作業拠点やベント(排気)時に放射性物質の排出を最小限にするフィルター、原子炉の冷却機能が失われた場合の代替注水設備を整備するよう求めている。
想定できる最大級の津波から重要機器を守るため、防潮堤や建屋の扉を強化。電源を失わないよう、外部電源の多重化や非常用発電機の強化も求める。
規制委の確認作業では、作業拠点が二〇一五年度まで完成しないことや、周辺の三つの活断層が連動した場合の影響評価、地盤を三次元で調べることをめぐり、関電との間で議論となった。
作業拠点では、関電は当初3、4号機の会議室で代用するとしたが、規制委が非現実的と指摘し、関電は1、2号機の中央制御室裏の会議室を提案し、規制委が受け入れた。
それでも十メートル四方の部屋に、事故時には三十八人の作業員が詰めることになる。テレビ会議の画面が小さく、原子炉のデータを表示するパソコンが一台だけなどの不備が指摘されたが、解消されたという。
活断層が連動して動いた場合の影響については、関電が「耐震性に影響はない」と報告し、規制委が了承。地盤の三次元調査は、中長期的に実施すればいいとされた。