2015年1月3日土曜日

原発再稼働の現行要件は極めて不十分

 日本は原発が1基も動かないままの1年間を、余裕を持って乗り越えました。
 しかし安倍政権は、国民の7割が反対しているにもかかわらず川内原発をはじめとする複数の原発の再稼動を強引に進めようとしています。
 
 安倍首相はことあるごとに、日本の新規制基準は世界一厳しいのでそれをクリアすれば云々・・・と言いますが、原子力規制委が昨年定めた新規制基準は、ヨーロッパなどの最新の規制基準に比べれば、コアキャッチャーもなく格納容器が2重構造でもないというものです。そして日本で最も重視されるべき基準地震動も現有の強度から逆算して求められた範囲に収めるという具合で、肝心なところはすべて従来の基準に沿っていて、配管支持の補強等をすれば既設の原発がすべてそのままで再稼動できるという極めて貧弱なものです。
 
 そのうえ日本の規制基準ではIAEAが定めている「深層防護」策のうちの「第5層(=住民の避難)」が完全に抜け落ちていて、どこが避難計画を立案してどこがその実効性を判断するのかの記述も一切ありません。
 これは機械的な細々した基準はある程度強化はしたものの、一番肝心で絶対的に重要な「住民を放射能の被曝から守る」という使命を、規制委が自ら放棄しているものです。その後の規制委員長の言動を見ても、その部分については毛ほども関与したくない・責任を取りたくないという逃げの姿勢が明瞭です。
 
 そうであれば、再稼働への同意を求める地元の範囲を防災対策が義務付けられた周辺自治体などに広げることと共に、実効性のある避難計画であることをどこが判断して再稼動を是とするのかについて、改めて議論すべきです。
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複数の原発 再稼働の可能性
NHK NEWS WEB 2015年1月1日 
4年前の原発事故の影響ですべて停止している国内の原発は、ことし鹿児島県にある川内原発をはじめ複数が再稼働する可能性があり、事故を踏まえた安全性の向上や避難計画、それに地元の同意を巡る議論に対する国や電力会社の対応が問われることになります。
 
去年、閣議決定されたエネルギー基本計画では、原発への依存度を可能な限り低減させるとする一方で、新しい規制基準に適合すると認められた原発は再稼働する方針が示されました。
新基準に基づく原子力規制委員会の審査には九州電力の川内原発が初めて合格し、立地自治体の同意が得られたのに続き、福井県にある関西電力の高浜原発も合格したことを示す審査書が早ければ今月中にまとまる見込みで、すべて止まっている国内の原発はことし複数が再稼働する可能性があります。規制委員会の田中俊一委員長は、「基準に適合したからといって絶対安全ではなく電力会社のさらなる安全性向上が不可欠だ」という考えを繰り返し強調しています。また周辺の自治体や住民は事故の際の避難計画が地震や津波との複合災害にも十分対応できるよう防災対策の充実やそのための支援を求めています。
さらに再稼働への同意を求める地元の範囲を巡っても、法的な定めはないものの、立地自治体だけでなく、防災対策が義務付けられた周辺自治体などに広げるべきだという意見が出され、こうした議論に対する国や電力会社の対応が問われることになります。