2015年1月25日日曜日

報告会に環境省の出席断る 塩谷町|高線量土砂が伊達市の農地に

 指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題で、塩谷町が2月上旬に開催する経過報告会に、環境省が出席できないか町側に打診していますが、は拒否する考えです。その理由は環境省が報告会に来ると、そこでいくら反対の声をあげても「住民の理解を得たとして実績づくりにされる」からだということです。
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 福島原発事故の除染として福島県内の25カ所で土砂が違法に採取された問題で、伊達市の現場の一つで採取をした業者「放射線量の高い土砂を周辺の農地にかぶせた」と説明しているということです。原発事故で汚染された畑地権者から業者が土砂の剥ぎ取りを依頼され、採石法違反状態で2011年10月ごろから採取し始めたものの採取した土砂が高線量だったため、「採取場所付近の農地の客土(土の上に積む)として使用した」ものですが、県はそのことを知った後採取等は禁じましたが、客土された農地はそのまま放置していました。
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環境省、塩谷町の報告会に出席を打診 町長「受け入れられない」
下野新聞 2015年1月24日
 放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場候補地選定問題で、塩谷町が2月上旬に開催を予定する住民向けの経過報告会に、環境省が出席できないか町側に打診していることが、23日分かった。
 これに対し見形和久町長は「住民は環境省に疑念を持っている。報告会への参加は住民感情から受け入れられない」と拒否する考えを示した。
 塩谷町は2月上旬、玉生、船生、大宮の町内3地区で初めての経過報告会の開催を予定している。環境省の担当者は「新聞報道で知った」と明かした。
 環境省は昨年7月30日の候補地選定時から「住民への説明の機会を設けてもらえるようにお願いしていく」と、同省主催の説明会開催に町の協力を依頼。これに対し、町や塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会は「反対の声を上げても、住民の理解を得たと実績づくりにされる」などと拒否している。
 同盟会は22日、同省職員の候補地への立ち入りを阻止。不信感を募らせる住民側と環境省との対話の糸口はさらに遠のいている。
 
高線量土砂が伊達市の農地に 県確認せず放置
河北新報 2015年1月24日
 福島第1原発事故の除染用などだとして、福島県内の25カ所で土砂が違法に採取された問題で、伊達市の現場の一つで違法採取をした業者が、県の聞き取り調査に対し、「放射線量の高い土砂を周辺の農地にかぶせた」と説明していたことが23日、分かった。県は土砂の線量を確認せず、農業担当部署などにも報告していなかった。
 県によると、違法採取が見つかったのは伊達市の畑で、面積は2000~3000平方メートル。畑は原発事故で汚染されたため、業者が地権者から外部被ばく防止などのために土砂採取を依頼され、採石法に違反した状態で2011年10月ごろから採取し始めた。
 業者は採取した土砂が高線量だったため、除染用土砂には不向きだと判断。違法操業発覚後の14年7月、使途について県に「採取場所付近の農地の客土として使用した」と語ったという。
 農地に用いる土砂の放射性物質濃度は国の基準で1キログラム当たり400ベクレル以下とされている。業者の説明を聞いた県の採石法担当部署は採取中止などを指導しただけで、線量については調べなかった。農業や除染の担当部署にも通報していない。
 業者から聞き取りをした県北地方振興局は「あくまで採石法に基づく調査であり、決められた報告は県本庁の採石法担当課にしている」と釈明している。
 
<情報共有すべきだ>
 震災と地方自治が研究テーマの河村和徳東北大大学院准教授の話 勝手に自分の仕事の範囲を判断し、他部署との調整コストを惜しんだ縦割り行政だ。個々の政策は本来、きちんと線引きできるものではない。どこまで仕事が広がるか考え、他部署や復興庁と情報共有するべきだった。
<「確認し処置」大切>
 福島県除染アドバイザーを務める日本原子力研究開発機構特任参与の石田順一郎氏の話 高線量の土は仮置き場に置き、住民の無用な被ばくを避けるのがルールだ。はぎ取った表土の取り扱いは最も重要な問題であり、判断に迷うことがあれば、県や市町村の除染対策担当者に確認して処置すべきだ。