2015年1月10日土曜日

高浜原発再稼働禁止を再申請へ|26年産福島新米基準超ゼロ|南相馬15年産米は「東電賠償の適用外」

 関電高浜原発3、4号機の再稼働禁止を求めて、滋賀県の住民が8日、大津地裁に仮処分を申し立てることを決めました。昨年11月、同様の請求に対して大津地裁は「原子力規制委が早急に再稼働を容認するとは考えがたい」とし、緊急性がないことを理由に却下しましたが、再稼働に向けた手続きが進んだことから緊急性が高いと判断し、今月末に申し立てるものです
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 福島県が行ったコメの全量全袋放射性物質検査で、昨年12月末までに計測した平成26年産米の約1075万点全てが食品衛生法の基準値(1キロ当たり放射性セシウム100ベクレル)を下回りました。一般的に新米とされる生産年の12月末までの検査で基準値超過ゼロを達成したのは初めてです。県は塩化カリ肥料などの散布や土壌の深耕・反転耕などの吸収抑制対策を進めてきたことが成果を挙げているとみています
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 農水省は8日までに、原発20キロ圏外で作付けを自粛した場合、東電の賠償を受けられる制度を南相馬市に適用しないとする原案をまとめ、福島県と市に通知しました。これまで作付けを自粛する農家には10アール当たり5万7000円が支払われていました。自粛賠償の継続を求める市農業委員会の鶴巻清一会長は「13年産米の基準値超過の原因が解明されておらず、対策も取れない。昨年と状況は変わっておらず、適用除外は納得できない」と反発。市経済部は「今後、農水省と意見交換の場を持ちたい」としています。
 
 前項の記事といい、1キロあたり100ベクレル以下であれば安全というベースで、全てが進められています。
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高浜原発再稼働禁止を再申請へ 仮処分求め滋賀の住民
朝日新聞 2015年1月9日
 関西電力高浜原発3、4号機(福井県)の再稼働禁止を求めて、滋賀県の住民が8日、大津地裁に仮処分を申し立てることを決めた。住民らは昨年11月、同様の請求を却下されたが、再稼働に向けた手続きが進んだことから緊急性が高いと判断し、今月末に申し立てる。地裁が仮処分を決定すれば、関電は当面2基の原発を再稼働できなくなる。
 
 住民らは2011年8月に高浜、大飯原発などの再稼働禁止を求める仮処分を申し立てたが、昨年11月27日、大津地裁が請求を却下した。地裁は、原発事故時の避難計画などが未整備な点を挙げ「原子力規制委員会が早急に再稼働を容認するとは考えがたい」と指摘し、再稼働を禁じる緊急性がないと判断した。だが、規制委は昨年12月17日、高浜3、4号機の安全対策が新規制基準を満たすとする審査書案をまとめ、近く正式認可する見通しとなっている。
 住民と弁護士は8日、大津市内で会合を開き、2基の再稼働が迫っているとの認識で一致。事故が起きれば「琵琶湖が放射性物質に汚染され、住民が危険にさらされる」などとして再度申し立てることにした。
 
 
26年産新米基準超ゼロ 風評払拭へ大きく前進 放射性物質検査
福島民報 2015年1月9日
 東京電力福島第一原発事故に伴うコメの全量全袋放射性物質検査で、昨年12月末までに計測した平成26年産米の約1075万点全てが食品衛生法の基準値(1キロ当たり放射性セシウム100ベクレル)を下回った。一般的に新米とされる生産年の12月末までの検査で基準値超過ゼロを達成したのは初めて。これまで、一部で基準値超えがあり、県産米の買い控えや風評被害につながっていた。専門家はセシウム吸収抑制対策の効果としている。
 県は県産米に対する消費者不安の解消や基準値を超えたコメの流通防止を目的に、24年産から全量全袋検査を始めた。ベルトコンベヤー式放射性セシウム濃度検査器を用いて全袋をスクリーニング検査し、機器ごとの設定値(1キロ当たり約50~80ベクレル)を超えた玄米は、ゲルマニウム半導体検出器で詳細検査を実施している。100ベクレルを超えた玄米は流通させずに廃棄するとした。
 生産年ごとの検査結果は【表】の通り。24年産は約1035万点を調べ、基準値超えは71点で全体の0・0007%だった。25年産の約1100万点からは、全体の0・0003%に当たる28点が100ベクレルを超えた。26年産米の検査は12月末現在で95%以上終了し、詳細検査に移ったのは29点で、いずれも最終的に基準値以下だった。24年産の詳細検査867点に比べ30分の1程度に減った。
 県はセシウムの自然減衰に加え、JAなどと連携しイネがセシウムを吸い上げないよう、塩化カリ肥料などの散布や土壌の深耕・反転耕などの吸収抑制対策を進めてきたことが成果を挙げているとみている。県はカリ肥料などの購入費の全額補助を続けており、26年度は水田6万8千ヘクタール分として約16億1千万円を投じている。
 県水田畑作課の天野亘課長は「(基準値超の検体ゼロは)風評の払拭(ふっしょく)に向け大きなPR材料になる」としている。
 国や県などの調査研究で、土壌中のカリウムにより、イネのセシウム吸収が抑制されることが分かっている。イネの生育初期に水田土壌のカリウム濃度を高めることが重要で、県やJAは乾土100グラム当たりカリウムを25ミリグラム以上に保つよう指導している。
 (添付表はコピーできないため省略
 
南相馬15年産米は「東電賠償の適用外」
   河北新報 2015年1月9日
 東京電力福島第1原発事故に伴う2015年産米の作付け方針で、農水省は8日までに、原発20キロ圏外で作付けを自粛した場合、東電の賠償を受けられる制度を南相馬市に適用しないとする原案をまとめ、福島県と市に通知した。
 作付けを自粛する農家には10アール当たり5万7000円が支払われていた。
 農水省は「南相馬市の14年産米で国の基準値(1キログラム当たり100ベクレル)を超える放射性セシウムが検出されたコメはなく、従来の方針通り、翌年は作付け自粛賠償の対象地域から外れることになる」と説明している。20キロ圏内は賠償が継続される。
 市地域農業再生協議会(会長・桜井勝延市長)は昨年末、13年産米から基準値超の放射性セシウムが検出された原因が解明されていないことや、市内の農地除染が遅れていることを理由に、20キロ圏外で通常の作付けを再開したいとする市の方針を否決。作付け自粛賠償の継続を盛り込んだ修正案を承認した。
 基準値超過の原因については、原発のがれき撤去に伴い、粉じんが飛散した可能性が指摘されている。原子力規制委員会は、がれき撤去との因果関係は低く、原発事故で広がっていたセシウムがコメに移行したとみている。
 自粛賠償の継続を求める市農業委員会の鶴巻清一会長は「13年産米の基準値超過の原因が解明されておらず、対策も取れない。昨年と状況は変わっておらず、適用除外は納得できない」と反発。市経済部は「今後、農水省と意見交換の場を持ちたい」としている。
 農水省の原案は、県内の作付けや出荷の制限はほぼ14年産を踏襲する内容で、2月中にも最終決定する。