関西電力の八木誠社長は6日、規制基準に事実上適合した高浜原発3、4号機の再稼働に関し、自治体から要望があれば半径30キロ圏に限定せずに安全協定を結ぶ可能性があるとの考えを示しました。ただ、地元同意の範囲は「立地自治体」とこれまでの主張を繰り返しました。
安全協定を結ぶ時期については「できれば再稼働前」としました。
これは高浜原発の30キロ圏内には福井県だけでなく、京都府や滋賀県の自治体も含まれるため、再稼働反対の声が強い京都府や滋賀県の住民の安心につながる協定を締結することで、早期の再稼働を実現したい狙いによるものと思われます。
京都府と滋賀県は立地自治体並みの安全協定締結を求めているのに対して、関電側は立地自治体並みのレベルにすることには否定的なので、円滑に同意を得て早期再稼働に結び付けられるかは不透明です。
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高浜安全協定 30キロ圏外でも 関電社長、再稼働向け意向
東京新聞 2015年1月7日
関西電力の八木誠社長は六日、福井県庁で記者会見し、規制基準に事実上適合した高浜原発3、4号機(同県高浜町)の再稼働に関し、自治体から要望があれば、半径三十キロ圏に限定せずに安全協定を結ぶ可能性があるとの考えを示した。ただ、地元同意の範囲は「立地自治体」と従来の主張を繰り返した。
八木社長は「(自治体から)要望があれば、三十キロ圏にとどまらず、内容に応じた協定は結び得ると思う」と述べた。ただし、内容については「立地地域の安全協定の歴史的な経緯を踏まえ、各自治体と相談する」と、立地自治体の協定と差をつけることを示唆した。結ぶ時期は「できれば再稼働前」とした。
高浜原発三十キロ圏だけでも、福井、京都、滋賀の三府県で十二市町が含まれる。二府五県と四政令市で構成する関西広域連合は先月、三十キロ圏内の全自治体と関電の間で立地自治体並みの協定を求める方針を決め「実行されない限り再稼働を容認できる環境にない」としている。
福井市の東村新一市長は六日の記者会見で、八木社長の協定締結を三十キロ圏内に限定しない発言に「全体的に進んでいく部分があるのでは」と評価。「今後、他の自治体と連携を取りながら検討したい」と述べた。同市は日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の三十キロ圏に一部が含まれるが、関電の高浜、大飯(同県おおい町)、美浜(同県美浜町)の各原発の三十キロ圏に入っていない。
東京電力福島第一原発事故を受け、避難計画の策定を義務付けられた自治体は従来の十キロ圏から三十キロ圏に広がった。