2015年1月4日日曜日

老朽原発5基廃炉へ 月内にも地元協議

 2016年7月時点で40年の運転期限を超える原発基のうち、5基が廃炉に向け月内にも立地自治体の理解を得るための協議に入ります
 廃炉になれば、立地地域の経済が打撃を受けかねないために協議するもので、政府は補助金の拡充などで立地自治体を支援するということです。
 これらは全てこれまで立地自治体の地域経済原発依存していたことによるものです。
 
 廃炉に向けた地元協議に入るのは、関電美浜原発1、2号機(福井県)▽中国電島根1号機(島根県)▽九電玄海1号機(佐賀県)▽日本原電敦賀1号機(福井県)の5基で、発電規模が34万〜56万キロワットと小さいために、安全対策に1000億円規模をかけて運転を延長してももとが取れるかわからないためです
 
 残りの2基は関電高浜原発1号機と2号機(福井県)で、発電規模が82.6万キロワットと大規模のため、運転延長を目指し昨年12月から特別点検を始めています
 
 こうした経済ベース優先の考え方が危険な原発の世界にも導入されていること自体が何んとも受け入れ難いことです。
 関電と規制委は特別点検で装置の劣化度をどのように判断するのか、中性子アタックを受け続けた原子炉圧力容器が40年経過後更に最大20年後まで延長する場合に、どれほどの強度を維持しているかをどのようにしてどういう確度で判断できるというのでしょうか。
 常識を遥かに逸脱した世界に向かおうとしています。
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電力4社:老朽原発5基、廃炉へ 月内にも地元協議
毎日新聞 2015年01月03日
 関西電力、中国電力、九州電力、日本原子力発電は、2016年7月時点で40年の運転期限を超える原発5基の廃炉に向け、月内にも立地自治体の理解を得るための協議に入る。多額の費用がかかる運転延長は採算が合わないと判断、3月末までに廃炉を正式に決定し、老朽原発以外の早期再稼働を優先する。廃炉になれば、立地地域の経済が打撃を受けかねないため、政府は補助金の拡充などで立地自治体を支援する。
 
 13年7月施行の改正原子炉等規制法で原発の運転期間が40年に制限されたが、原子力規制委員会の認可を得れば、最長20年の延長ができる。施行から3年間の猶予期間が設けられており、16年7月時点で40年を超える7基が最初に運転期限を迎える。延長する場合、設備の劣化状態を調べる「特別点検」を実施し、運転期限の1年前までに規制委に申請する必要がある。
 
 7基のうち、廃炉に向けた地元協議に入るのは、関電美浜原発1、2号機(福井県)▽中国電島根1号機(島根県)▽九電玄海1号機(佐賀県)▽日本原電敦賀1号機(福井県)−−の5基。関電高浜原発1、2号機(福井県)は運転延長を目指し、昨年12月から特別点検を始めている。
 
 5基は日本の原子力開発の先駆けで、1970年に営業運転を開始した日本原電敦賀1号機は、普通の水を冷却材などに使う軽水炉としては国内初の商業用原発。しかし、5基の発電能力は34万〜56万キロワットで、現在主流の100万キロワット級より小さい。運転延長に必要な安全対策には1000億円規模の費用がかかる見込みで、再稼働してももとが取れるかわからない。審査も厳しくなりそうで、「期限の16年7月までにクリアするのは困難」(電力大手幹部)との見方が強まった。
 
 原発依存度低減を掲げる政府も、老朽原発の廃炉の早期判断を促している。ただ、廃炉になって原発の資産価値がゼロになると、1基当たり210億円程度の損失が発生し、電力会社の財務が悪化する。このため政府は、損失を10年程度に分割し、電気料金で回収する会計制度を導入する。
 
 一方、営業運転が終了すれば、原発立地自治体は、、国からの「電源立地地域対策交付金」や、電力会社からの固定資産税収入、原発の定期検査などに携わる雇用を失う。政府は15年度予算で、原発立地地域の産業を育成するための補助金を拡充し、地域経済の原発依存からの脱却を支援する方針。各社は政府の支援策を見極めた上で、立地自治体と廃炉に向けた調整を進める考えだ。廃炉方針が決まった場合、代替電源の確保などに向け、原発を建て替える議論が進む可能性もある。【中井正裕、浜中慎哉、寺田剛、加藤小夜】