泉田新潟県知事はかなり以前に、福島原発で引き起こした汚染水漏れ事故と公表の遅れなどで、東電を「過去の経験に学べない企業」だとして、「原発のオペレーションができるのか不安だ」と批判しました。
それに対して東電は日本原子力発電と共同で原発における米国式の危機管理手法を研究して、柏崎刈羽原発に米国式の運営手法を導入することで、知事や地元の理解を得たいとして、そのために日本原電から技術者を受け入れることを検討しているということです。
日本原電の側も、所有している東海第2原発と敦賀原発1、2号機の再稼働の見通しが立たないため、原発の運営事業を、海外展開も視野に入れながら将来のビジネスモデルの一つにしたいという構想があるので、その点で両者の目的は合致しています。
ところで知事の要求は、そうした何かを取って付けるというような対応を求めたというよりは、福島原発事故後も一貫して続いている(情報の)隠蔽体質や信じられないような凡ミス操作の頻発などで、東電には安全管理上の基本中の基本、基礎中の基礎が出来ていないのではないかという指摘であったように思います。
最近もがれき飛散防止剤の信じがたいような使用上の誤りが暴露されたばかりです。
したがって東電が今後は米国式の危機管理手法を取り入れると聞いても、一体東電は問題の本質を自覚しているのだろうかという違和感の方が先に立ちます。
それに米国は確かに発想に優れているところがあり、品質管理やZD運動(不適合防止運動)などを開発しましたが、それを生産活動に完璧に取り入れて成果を挙げたのは実は日本の方でした。東電にそういう意識とそれを吸収して発展させる能力があるのかも大いに疑問です。
それはそれとして、原発事業運営の基礎力を上げること自体は結構なことなので、それに向かって実を挙げる努力はして欲しいものです。
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柏崎刈羽原発再稼働・管理強化へ原電技術者受け入れ検討
毎日新聞 2015年01月04日
東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向け、日本原子力発電から技術者の受け入れを検討していることが3日分かった。東電は、米国式の危機管理手法を原発運営に導入する方針で、日本原電と共同で原発の管理態勢を強化し、再稼働への地元理解につなげたい考え。一方、原発専業の日本原電は保有する原発3基の再稼働のめどが立たず、経営体制の転換が急務。柏崎刈羽での改革ノウハウを活用した原発運営ビジネスを収益の柱の一つに育てて事業の存続を図る方針だ。【安藤大介】
東電の柏崎刈羽原発の再稼働は、原子力規制委員会の安全審査が長期化しているうえ、地元自治体の反対が強く、進んでいない。また、日本原電は、所有する東海第2原発(茨城県)と敦賀原発1、2号機(福井県)の再稼働の見通しがつかず、原発で作った電力を大手電力会社に販売する経営体制そのものの見直しを迫られている。
東電は今年3月に改定する経営再建計画(新総合特別事業計画)で、柏崎刈羽原発の7月以降の再稼働を盛り込む方針だが、再稼働の前提となる地元同意のめどは立っていない。新潟県の泉田裕彦知事は2013年夏に東電福島第1原発で発生した汚染水漏れ事故と公表の遅れについて「過去の経験に学べない企業が、原発のオペレーションをできるのか不安だ」と批判し、原発運営手法の刷新を再稼働の前提条件の一つに挙げていた。
このため、東電は日本原電と共同で米国式の危機管理手法の研究に着手。米原子力規制委員会(NRC)は01年の米同時多発テロを受け、原発テロに備えた危機管理対策を強化し、原子炉への攻撃や全電源喪失といった緊急事態に対応できる機材や手順書の準備、作業員の訓練などを義務付けている。東電は柏崎刈羽原発に米国式の運営手法を導入することで、地元の理解を得たい考えだ。
一方、東電は日本原電の発行済み株式の約3割を握る筆頭株主で、柏崎刈羽原発の運営改革に日本原電の技術者に参画してもらい、経営体制の転換を側面支援する。東電は福島第1原発の廃炉作業にも日本原電から技術者を受け入れる方針で、事故分析などの情報も日本原電と共有し、「日本版原発運営マニュアル」を共同開発する。
日本原電はこのマニュアルの他原発への導入を含めた原発運営事業を将来的な収益の柱の一つにしたい考えだ。これまでベトナムやタイなどで原発導入の支援実績があり、海外展開も視野に入れている。
◇日本原子力発電
原子力発電専業の電力会社。1957年に電力大手9社と電源開発が共同出資し設立した。筆頭株主は東京電力で、発行済み株式の約28%を保有している。東海第2原発(茨城県)、敦賀原発1、2号機(福井県)の原発3基を持ち、東電福島第1原発事故前には東電や関西電力など電力大手5社に電力を販売していた。現在は原発3基とも停止中だが、売電契約に基づく電力5社からの基本料金収入があり、2013年度の連結最終(当期)損益は16億円の黒字だった。
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柏崎刈羽原発再稼働・管理強化へ原電技術者受け入れ検討
毎日新聞 2015年01月04日
東京電力が柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働に向け、日本原子力発電から技術者の受け入れを検討していることが3日分かった。東電は、米国式の危機管理手法を原発運営に導入する方針で、日本原電と共同で原発の管理態勢を強化し、再稼働への地元理解につなげたい考え。一方、原発専業の日本原電は保有する原発3基の再稼働のめどが立たず、経営体制の転換が急務。柏崎刈羽での改革ノウハウを活用した原発運営ビジネスを収益の柱の一つに育てて事業の存続を図る方針だ。【安藤大介】
東電の柏崎刈羽原発の再稼働は、原子力規制委員会の安全審査が長期化しているうえ、地元自治体の反対が強く、進んでいない。また、日本原電は、所有する東海第2原発(茨城県)と敦賀原発1、2号機(福井県)の再稼働の見通しがつかず、原発で作った電力を大手電力会社に販売する経営体制そのものの見直しを迫られている。
東電は今年3月に改定する経営再建計画(新総合特別事業計画)で、柏崎刈羽原発の7月以降の再稼働を盛り込む方針だが、再稼働の前提となる地元同意のめどは立っていない。新潟県の泉田裕彦知事は2013年夏に東電福島第1原発で発生した汚染水漏れ事故と公表の遅れについて「過去の経験に学べない企業が、原発のオペレーションをできるのか不安だ」と批判し、原発運営手法の刷新を再稼働の前提条件の一つに挙げていた。
このため、東電は日本原電と共同で米国式の危機管理手法の研究に着手。米原子力規制委員会(NRC)は01年の米同時多発テロを受け、原発テロに備えた危機管理対策を強化し、原子炉への攻撃や全電源喪失といった緊急事態に対応できる機材や手順書の準備、作業員の訓練などを義務付けている。東電は柏崎刈羽原発に米国式の運営手法を導入することで、地元の理解を得たい考えだ。
一方、東電は日本原電の発行済み株式の約3割を握る筆頭株主で、柏崎刈羽原発の運営改革に日本原電の技術者に参画してもらい、経営体制の転換を側面支援する。東電は福島第1原発の廃炉作業にも日本原電から技術者を受け入れる方針で、事故分析などの情報も日本原電と共有し、「日本版原発運営マニュアル」を共同開発する。
日本原電はこのマニュアルの他原発への導入を含めた原発運営事業を将来的な収益の柱の一つにしたい考えだ。これまでベトナムやタイなどで原発導入の支援実績があり、海外展開も視野に入れている。
◇日本原子力発電
原子力発電専業の電力会社。1957年に電力大手9社と電源開発が共同出資し設立した。筆頭株主は東京電力で、発行済み株式の約28%を保有している。東海第2原発(茨城県)、敦賀原発1、2号機(福井県)の原発3基を持ち、東電福島第1原発事故前には東電や関西電力など電力大手5社に電力を販売していた。現在は原発3基とも停止中だが、売電契約に基づく電力5社からの基本料金収入があり、2013年度の連結最終(当期)損益は16億円の黒字だった。