中間貯蔵施設は福島県の大熊町と双葉町が受け入れの意向を示し前進しましたが、環境省は、原発事故で汚染した森林の伐採材/間伐材やため池底部の放射性汚染土などは、放射性物質汚染対処特別措置法(以下“特措法”)に基づく除染の廃棄物とは異なるとして、中間貯蔵に受け入れない方針だということです。除染を進めるための中間貯蔵施設の筈なのにどうしたことでしょうか。
ため池底部の汚泥や森林の伐採材/間伐材などの行き先が決まらなければ、勿論その除染は進みません。
ため池底部の汚泥や森林の伐採材/間伐材などの行き先が決まらなければ、勿論その除染は進みません。
当初環境省は、特措法施行(平成24年1月)以前に行われた学校除染に伴う廃棄物についても対象外としていましたが、それについては中間貯蔵施設に運び込む方向で検討しているということです。
特措法の改正は難しいといいますが、なぜ学校除染で出来た法文解釈の変更がため池の汚泥などに対しては出来ないのでしょうか。
除染や廃棄物搬入にかかる費用は最終的に国が東電に負担を求める仕組みになっているので、除染以外の廃棄物も運び込んだ場合、東電の負担がさらに膨らむことを懸念しているといいますが、本末転倒した考え方です。
除染に必要な費用を東電が負担するというのは基本中の基本事項です。
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搬入先決まらず 森林・ため池汚染廃棄物 中間貯蔵の対象外
福島民報 2015年1月18日
東京電力福島第一原発事故に伴う森林やため池の放射性物質低減事業で発生する汚染土などの搬入先が決まっていない。放射性物質汚染対処特別措置法に基づく除染の廃棄物は中間貯蔵施設に搬入されるが、環境省は除染以外の廃棄物を同法の適用対象外とみなしているためだ。(福島)県は「同じ廃棄物なのに区別すべきではない」と搬入を認めるよう求めている。汚染土などの行き先が決まらないことで、現場保管の長期化や仮置き場確保の難航が懸念されている。
■前に進まない
環境省は「森林全ての面的な除染は困難」「水による放射線の遮蔽(しゃへい)効果でため池周辺の環境に与える影響は小さい」などの理由で、生活空間への影響が大きい場合などを除いては、特措法に基づく除染の対象として認めなかった。
このため、県は平成25年度から農林水産省の財政支援を受け、間伐などによる「ふくしま森林再生事業」に着手。26年度からは復興庁の福島再生加速化交付金を活用した、ため池の放射性物質対策事業が可能になった。いずれも27年度から事業が本格化する。
しかし、国直轄除染や国の財政支援による市町村除染とは違い、汚染土などの中間貯蔵施設への搬入が法的に担保されないという課題が残ったままだ。
ふくしま森林再生事業は、空間放射線量が毎時0.23マイクロシーベルト以上で汚染状況重点調査地域に指定された市町村のうち、現時点で30市町村の民有林30万1088ヘクタールが対象となっている。
「中間貯蔵施設に搬入する前提で仮置き場の選定を進めている。出口が決まらなければ前に進まない」。約1万2000ヘクタールの民有林で間伐などに取り組む川内村農村振興課の担当者は搬入先が決まらない現状を不安視する。
■早急に道筋を
県と農水省が実施した、ため池の放射性物質検査では、1940カ所のうち576カ所の底土から1キロ当たり8000ベクレル超の放射性セシウムが検出され、営農再開に向けた障害となっている。
国は、26年度内に具体的な工法や積算方法を盛り込んだマニュアルを策定する方針だ。ただ、底土の除去や拡散抑制など採用する工法によって発生する汚染土の量は異なり、現場での一時保管や仮置き場への搬入の在り方にも影響するとみられる。
県農地管理課の野内芳彦課長はため池の汚染土について「(特措法に基づく)除染廃棄物と同様の位置付けになるよう早急に道筋をつけてもらいたい」と訴える。