これまで多核種除去設備(ALPS)で処理した水を希釈して海洋放出すべきだと繰り返し主張している田中原子力規制委員長は、21日の会合で、貯蔵タンクで作業員が転落死した事故について「排出濃度以下になった水を捨てずにタンクを増設する中で事故が起きた。世論に迎合して人の命をなくすのは元も子もない」と批判しました。
自分の主張通りにことが運んでいないことへの苛立ちを込めたものですが、この件については、まずトリチウムの問題をどう考えるかということと、そういった水を関係者の同意を得ないで放出していいのかという二つの問題があるので、そう簡単に決められるものではありません。
また「人の命をなくすくらいなら放出すべきだ」という理屈も、論理の飛躍があり過ぎて説得力がありません。
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規制委員長「東電に覚悟なし」 労災事故で
東京新聞 2015年1月21日
原子力規制委員会の田中俊一委員長は21日の会合で、東京電力福島第1原発の貯蔵タンクで作業員が転落死した事故について「排出濃度以下になった水を捨てずにタンクを増設する中で事故が起きた。(海洋放出に反対する)世論に迎合して人の命をなくすのは元も子もない。東電には覚悟がない」と痛烈に批判した。
田中氏はこれまで多核種除去設備(ALPS)で処理した水を希釈して海洋放出すべきだと繰り返し主張しているが、トリチウムを取り除けないため地元には風評被害を懸念する声が強く、東電は「関係者の同意なしに放出しない」と慎重な姿勢を崩していない(共同)
汚染された地下水 海洋放出計画認める
TBSテレビ 2015年1月21日
福島第一原発の汚染水を減らすため、建屋の周辺にある井戸から汚染された地下水をくみ上げ、浄化して海に放出する東京電力の計画を、原子力規制委員会が認めました。
計画は、建屋の周りにある「サブドレン」と呼ばれる井戸から汚染された地下水をくみ上げ、一定の基準に浄化処理をしたうえで、海に放出するというものです。
その際の基準は、セシウムが1リットルあたり1ベクレル未満などとなっています。原子力規制委員会は、「適切な排水管理が担保されている」として、計画を認可しました。
東京電力は「関係者の同意なしに放出はしない」としていますが、漁協などの地元関係者が風評被害を懸念していて、運用開始のめどは立っていません。