京都大原子炉実験所の小出裕章氏が福島民友新聞の元日号に記事を寄せ、福島原発はコンクリート製の石棺で覆って放射能の空中放出を封印すべきである、と提案していることが分かりました(5日の「みんな楽しくHappyがいい♪」に掲載)。
チェルノブイリ事故ではソ連は空軍を使って、僅か10日後に放射能の放出を石灰石、鉛などの投下で封じ込め、その後コンクリート製の石棺で覆って封印しました。ここ数年そのコンクリートが劣化して再び微量な放射能がもれるようになったために、更に覆いを完全にする工事を行っています。
東電は放射能の空中放出量は時間当たり1000万ベクレル(日量2億4千万ベクレル)としていますが、本当にそういうオーダーなのかは明確ではありません。
問題はそれがゼロになる可能性があるのか、可能性があるとすればいつ頃なのかが全く不明なことであり、このままでは核燃料の自己崩壊が終了するまで、なかば無限に続く可能性があるという点です。
問題はそれがゼロになる可能性があるのか、可能性があるとすればいつ頃なのかが全く不明なことであり、このままでは核燃料の自己崩壊が終了するまで、なかば無限に続く可能性があるという点です。
そのほかに地下水脈を通って海岸から10キロ沖合いの海底から海中に莫大な量の放射性物質が放出され続けているのはご承知の通りです。
小出氏は福島原発で日量300トンの汚染水が発生していることがわかった時点で、「現在余っている数十万トンの重油タンカーがあればそれを貯槽として利用すべきだ」という提案をしました。
そうすれば例えば柏崎刈羽原発に汚染水を持って行き、そこの処理装置を利用できるというもので優れた提案でした。
しかしなぜか採用されずに、福島原発の山側にはタンクが林立するという現状をもたらしました。
しかしなぜか採用されずに、福島原発の山側にはタンクが林立するという現状をもたらしました。
確かに石棺による封印を検討する段階に達していると思われます。
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(福島原発) 石棺で覆い封印を
小出裕章 福島民友新聞 2015年1月1日
(みんな楽しくHappyがいい♪ 2015年1月5日)
<京都大原子炉実験所助教 小出裕章氏の提案>
福島の原発事故は人類がこれまで一度も経験したことがないほど過酷な事故だ。
政府や東京電力が計画するような溶融燃料(燃料デブリ)取り出しは全くできないと思う。
大変残念で悲しいことだが、諦めたほうがいい。
チェルノブイリ原発のように、原子炉建屋全体を「石棺」と呼ばれるような構造物で覆い、放射性物質が外部に出るのを防ぐ対策を急ぐべきだ。
炉心が2800度超の高温で溶けるなど事故は非常に動的な状態で進展した。
溶け落ちた炉心が圧力容器の真下に静かにたまっていることはあり得ない。
そこら中に飛び散り、圧力容器の真下から周囲に流れ出て広がっているはずで、仮に格納容器を冠水できても、上から覗いて見えるのは半分もないと思う。
全部は取り出せない。
冠水せずに解体する代替の方法も猛烈な被曝を伴うためやるべきではなく、
あらかじめ全体を封印する方策のほうがいいだろうと思う。
事故収束の指揮を執る人たちは、事故が今も継続中で、環境への影響を減らす対策を早急に実行するべきだという危機感が欠如している。
事故そのものも、住民避難も、汚染水問題も、楽観的で都合の良い見通しの下で対策をとって失敗し、対応が後手後手になる繰り返し。
その姿勢を改めるところから始めるべきだ。
事故が起きた責任をまだ誰も取っていない。
廃炉についても政府、東京電力など関係機関が失敗しても誰も責任を取らなくていいという体制でやっていることが問題だ。
◇こいで・ひろあき
1949年東京生まれ。
74年、京都大学原子炉実験所入所。
原発の危険性を訴える活動に長年携わる。