2016年2月3日水曜日

03- 地層埋設 瑞浪研究所(岐阜) 探訪記

 火山・地震地帯である日本列島には数万年間も安定的である地層は存在しないことは、日本学術会議で確認されています(2012年)1
1    2014年1月6日 核のごみの処分地選定急展開か
 要するに日本では「高レベル放射性廃棄物」を地下深くに埋める「地層処分」はできないということです。
 
 福島民友新聞が、岐阜県瑞浪市(みずなみし)の 「瑞浪超深地層研究所」を取材しまし
 同所には地下300mの岩盤(花こう岩)に1・8kmの坑道が掘ってあります。坑道面に露出した花こう岩からは水止めしたあとも絶えず水がしたたり落ち、その量は1日750トンに上ります。
 
 仮にそこに埋設することにすると、まず高圧で吹き出てくる地下水を汲み上げながら掘削を進めて広大なスペースを確保するという難工事が必要な上に、完成後の湧水量は現行の数十倍乃至それ以上になるので、より大がかりな排水設備が必要になります。そしてその維持管理費としては、数年ごとのポンプの交換、電気設備の保守・部品交換、駆動・保守用電力等を数万年分見積る必要があるので、そのコストは天文学的な数値になります。その他に数万年間の人件費も当然かかります。
 まずコスト的に見て問題外だということですが、より根本的な問題はその地層が数万年間安定しているという保証がないことです。
 
 日本にはもう一か所試験的に掘った坑道があります。
 それは北海道天塩郡幌延の深地層研究センターで、すでに地下350mまで掘ってあります。
 しかしそこは堆積岩質の比較的軟らかい地質で、坑道には塩分を含む地下水が湧出しているということなので、貯蔵所として不適ですし安定した地層でもありません2
2 2014年5月6日 幌延の深地層研 地下500メートルまで掘削へ
 
 これが日本の核廃棄物処分における肌寒い状況です。
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「地層処分」見えぬ候補地 岐阜・瑞浪研究所、地下水に焦点当たらず
福島民友  2016年02月02日
 原発の使用済み核燃料を再処理する過程で出る「高レベル放射性廃棄物」を地下深くに埋める「地層処分」。研究が始まって今年で40年となるが、いまだに処分場の候補地は決まっていない。施設建設の課題はどこにあるのか、岐阜県瑞浪市の「瑞浪超深地層研究所」を取材した。
 
 岩盤を垂直方向にくりぬいて作った分速100メートルの地下エレベーターで降りたのは、地下300メートルに横方向に掘られた坑道。露出した花こう岩からは絶えず水がしたたり落ちる。研究所の担当者は「地下水がしみ出さない加工をしているのでこの程度。地下では岩盤の隙間を水が流れ、掘れば高圧で噴き出す」と語る。
 
 資料では深層の地下水は動きは遅いとされているが、一度掘った空間には圧力がかけられて湧き出し、しかも湧き出したことが地層全体に与える影響は地球上どこでも実験したことはないという。実際に水止め加工をしていないところからは相当の水量が出ており、地下坑道の総延長1.8キロの同所では1日750トンが湧き、ポンプでくみ上げて排出している。「岩盤は安定しているから貯蔵に最適」という利点が示される一方、地下水問題はあまり焦点が当てられていない。水は核燃料を包む防護壁を長年かけて浸食する要因の一つだ。
 
 海外で地層処分の処分地として決定している地域としてフィンランド・オルキルオトが有名だ。担当者に「フィンランドの岩盤でも水は出るのか」と聞くと「岩盤に割れ目がないので水は少ないと聞いている。ただ(瑞浪の)地下水量は当初の想定通りで問題はない」との答えだった。
 
 「地層処分」の候補地選定について、国は従来の公募方式から、科学的な「有望地」を示し該当する自治体に協力を呼び掛ける方式に変更した。有望地を選定する期限は年内だ。国には「地層処分しか方法はない」などの単純な説明ではなく、これまで明示しなかった課題まで示しながらの説明が求められる。