自民党の議員たちは「アメリカは、日本が脱原発をすることを認めない」などと奇妙なことを言いますが、一体そんなことがあり得るのでしょうか。
アメリカでは、スリーマイル島の原発事故(1979年)よりも数年前の1970年代半ば以降、コストメリットがないことから急速な原発離れが起き、1975年以降はただの1基も建設されていません。 1975~1978年の4年間は年間2~4基の発注(合計13基)がありましたが、そのすべてが後にキャンセルされ、1979年以降現在に至るまで発注自体がゼロになっています。
こういう現実がほとんど知らされないままで、「脱原発が認められない」などというデタラメとしか思えない言説が流布されています。
世界は脱原発に向かっており、再生可能エネルギー発電も日本の数倍~十数倍の比率でが普及しつつあります。
その比率がまだ僅か数%なのに、受け入れ能力をオーバーしたからという口実でその普及を阻止しようとしているのも日本だけです。
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世界は脱原発に進んでいる
菅直人 BLOGOS 2016年02月02日
ワシントン、ロンドン、チューリッヒを回り、 1月31日に帰国。一週間で地球を一周し、やや時差ボケが残った。
欧米を回ってみてあらためて脱原発の流れを感じた。最大の原発大国のアメリカでも原発は減り続けており、現在は稼働している原発は99基と100基を切った。最大の原因は原発がコストに合わないという経済的理由。使用済み燃料の最終処理の場所も決まっていない。
第二の原発大国フランスも電力に占める割合を75%から50%に削減中。ドイツは2022年までに原発をゼロにする計画を着々と進めている。
日本はこれまで3番目の原発大国だったが、現在稼働しているのは3基のみ。使用済み燃料の最終処理費用、事故時の莫大な補償、原発の建設コストの上昇など、理性的に考えれば原発に戻ることは考えられない政策。進めようとしているのは原発関連事業に国民が負担する税金や電気料金を投入させることにより、原発で儲けようとしている人たちだ。
このように欧米の主要国では原発は減ってきており、長期的にもコスト高で増やす計画が次々と頓挫している。
今後も原発を大きく増やす計画を進めているのが中国。中国は急速な経済発展と大気汚染の深刻化から原発を増やそうとしている。原発建設計画は地震が少ない沿岸部で進められているが、沿岸部は同時に人口を集中しており、事故が発生すれば大きな被害が予想される。その場合、偏西風で韓国や日本が被害を受ける可能性も高い。しかも、中国のAP1000と呼ばれる原発はもともとウエステイングハウスの技術が基になった原発で、技術的にも心配。
国際的環境団体は福島原発事故5周年に合わせて“脱原発”運動に一層積極的に取り組んでおり、私にも国内外から多くの参加要請が来ている。日本と世界の脱原発に役立つことであればできるだけ協力するつもりだ。