2016年2月28日日曜日

28- 「大津波到来は予見できた」と原発避難者側 群馬訴訟

 福島原発事故で群馬県内避難している137人が国と東電に損害賠償を求めている集団訴訟の口頭弁論が26日、前橋地裁であり、計41人の原告の本人尋問が終了しました。
 また原告側が入手した、2008年に東電が行った津波試算に関する準備書面などが提出され原告側は、東電は原子炉建屋が浸水するほどの津波が到来しうることを予見できたと主張しました。
 今後は、被告側証人佐竹健治東大教授に対する書面尋問などが行われ、来年度中には判決が出るとの見通しだということです。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「津波到来 予見できた」 本人尋問終わる 原発避難訴訟で原告
東京新聞 2016年2月27日
 東京電力福島第一原発事故による(群馬)県内への避難者ら百三十七人が、国と東電に計約十五億円の損害賠償を求めている集団訴訟の口頭弁論が二十六日、前橋地裁(原道子裁判長)であった。本人尋問を予定していた原告一人が仕事と健康上の理由で出廷できず今後も難しいと判断され、昨年五月から始まった計四十一人の本人尋問が終了した。
 
 この日は原告側が入手した、二〇〇八年に東電が行った津波試算に関する準備書面などが提出された。原告側は、この試算で原子炉建屋が浸水するほどの津波が到来しうることを予見できたと主張した。ほかに、これまでの原告と被告の主張を踏まえ、裁判所から両者に対して詳しい説明を求める「求釈明」があった。
 
 閉廷後、原告弁護団は会見し、「事実関係の立証について、ヤマ場を越えたとは言えないが山頂に着きつつある」と、審理が佳境を迎えていると説明。今後は、被告側が証人申請した、地震や津波に詳しい東大の佐竹健治教授に対する書面尋問などが行われ、来年度中には判決が出るとの見通しを示した。
 また原告の一人で、震災後に福島県いわき市から前橋市へ夫と避難してきた丹治杉江さん(59)は、「国や東電は自主避難者に『地元の自治体が安全だと言っているのに帰らないのは本人の勝手』などと反論し、被災者の苦難をくみ取るどころか否定した。何事もなかったかのように、必要な賠償は済んだのだからという態度は避難者にとってはつらい」と訴えた。
 次回は六月二十四日に開かれる。 (川田篤志)