丸川珠代環境相は7日松本市内で講演し、福島原発事故後に国が原発周辺などで行っている除染の到達目標(基準)を年間被ばく量1ミリシーベルトとしている点について、「どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと述べました。
除染目標は、国際放射線防護委員会(ICRP)が一般人の通常時の被ばく量を年間1ミリシーベルトと勧告しているのに従って定めたものです。
丸川氏は、環境省が年間被ばく量を20ミリシーベルト以下であれば居住が可能としているのを正当化したいのでしょうが、それこそ何の根拠もないものです。
「放射線管理区域」という特殊の人たちしか入ることができないエリアがありますが、そこの定義は空間線量が3ヶ月で1.3ミリシーベルト(年間5ミリシーベルト)以上の区域です。
そこでは飲食をしたり、喫煙したり、睡眠をとったりしてはならないとされています。それを4倍も上回る環境でどうして生活ができるというのでしょうか。
20ミリシーベルトについては、ICRPが事故などの緊急時には1 ミリシーベルトから20ミリシーベルトぐらいの被曝はやむを得ないという勧告を出しているということですが、5年も経過しているのに「緊急時」に相当する筈はなく、まして永住させる基準ではありません。お粗末極まる発言です。
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丸川環境相「何の根拠もなく」 原発事故、松本で講演
信濃毎日新聞 2016年2月8日
丸川珠代環境相は7日、松本市内で講演し、東京電力福島第1原発事故を受けて国が原発周辺などで行っている除染で、基準となる年間被ばく量を1ミリシーベルトとしている点について、「『反放射能派』と言うと変ですが、どれだけ下げても心配だと言う人は世の中にいる。そういう人たちが騒いだ中で、何の科学的根拠もなく時の環境大臣が決めた」などと述べた。
国際放射線防護委員会(ICRP)は、一般人の通常時の被ばく量を年間1ミリシーベルトと勧告している。民主党政権は事故当時、この勧告を基に、国が行う除染の基準を1ミリシーベルトに定めた。
丸川氏は、国が行う除染の基準は厳し過ぎるとし「(除染が終わらないため)帰れる筈の所にいまだに帰れない人がいる」とも主張した。