日本では廃炉によって出る放射性廃棄物(放射線レベルによって高い方からL1~L3)の捨て場がありません。
L1を埋設できる場所(地下数百mで10万年隔離)=地層=が日本にはないということは、すでに日本学術会議が断言しています※。
L2、L3も同じことです。こちらは地表からわずかの深さに埋設すればよく、その期間もL1よりははるかに短いのですが、それでもそれを認めてくれる自治体は見つかっていないし、これから見つかるという保証もありません。
そうした現実は福島原発事故の後始末で国も電力会社も痛いほどよく分かっています。ようするに日本で原発を稼働させることには根本的に無理があるのに、政府と電力会社は何も知らないかのようにしてひたすら再稼働に走っているのです。
これは犯罪的な理解不能の光景です。
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「原発廃炉時代」解体で出る放射能廃棄物どこに捨てる?
地元自治体は最終処分場拒否
J-CAST 2016年1月28日
日本が原発の運転を開始してからちょうど50年になる。運転期間としてきめられている40年を超えた老朽原子炉も多く、すでに14基の廃炉が決まっていて、一部は廃炉作業がはじまっている。さらに、今後10年内に廃炉の判断を迫られる原発も15基ある。
しかし、使用済み核燃料、廃棄物と同様に、原発解体で出る放射性廃棄物の処分場は決まってない。電力会社が責任を持って処分することになってはいるが、建設地の選定は難航している。「国も電力会社も原発の運転を優先し、問題を先送りにしてきた現実」(番組ナレーション)があるからだ。
敷地内の仮置き場まもなく満杯
廃炉によって出る放射性廃棄物は、L1~L3の放射能レベルに分けられ、制御棒など放射能が高いL1は地下深く10万年隔離する必要がある。低レベルのL3は配管やポンプなどだが、「もっとも低レベルのL3ですらどこにどう処分するか決まっていません」(国谷裕子キャスター)。
15年前から廃炉作業が始まっている茨城県の東海原発では、解体工事ですでにL2~L3の廃棄物が出ている。3年後にはL1も見込まれるが、処分場は決まらないまま、ドラム缶2000本分の廃棄物を敷地内の倉庫で一時保管しているという。
東海村の山田修村長は「このまま処分地が決まらず、解体作業がストップすることは避けなければならない。L3であれば『やむなし』と感じています」と話す。しかし、L1やL2については、敷地内の処分は認めないとしている。原発事業者の日本原電は東海村や周辺の自治体で住民説明会を開いているが、L3の処分場でも不安を感じる住民は少なくない。
6年前から廃炉が進められている中部電力・浜岡原子力発電所は、これから放射性廃棄物が出る予定だが、処分場は未定だ。昨年9月(2015年)、建屋内に廃棄物を一時的に保管する計画を打ち出したが、これに対し自治体からは仮置き場がなし崩し的に処分場にされるという懸念が出ている。
「われわれは発電所の立地は認めたわけだが、低レベル(放射性廃棄物の処分場)をうちの方で確保する話し合いはまだ何もしていない。今のままだと、ずるずる行ってしまう心配もある」と石原茂雄・御前崎市長は心配する。