2016年2月23日火曜日

23- 高浜原発の1次冷却水漏れ「報告遅い」と京都府と滋賀県

 高浜原発4号機で1次冷却水が漏れたトラブルが問題になっています。
 
 「冷却水」という言葉からは比較的きれいな水というイメージを持ちがちですが、原子炉の「1次冷却水」というのは、原子炉内に封入されて核分裂による熱で過熱沸騰水となる水のことなので、最も放射能で汚染された水です。
 運転時には150℃近辺になる水であるにも関わらず「冷却水」と呼ぶのは、核燃料側から見るとこの水の存在によって燃料が過熱するのが防止されるためです。
 
 幸いにして今回はまだ原子炉内で核分裂を起こす前での漏水(常温・常圧)だったために大事には至りませんでしたが、もしも運転中の高圧下であれば大量の漏水になった可能性があるし、放射能による汚染の被害も甚大となります。
 
 高浜に隣接する京都府と滋賀県は、事前の取り決めに反してこの度も漏水事故の報告が遅れたことを問題視しています。
 これは事故のたびに必ず指摘されることなのに、一向に厳守されないのは問題です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
高浜原発4号、起動試験を延期 1次冷却水漏れ受け再稼働遅れも
福井新聞 2016年2月22日
 関西電力は21日、定期検査中の高浜原発4号機(加圧水型軽水炉、出力87万キロワット)で放射能を含む1次冷却水が漏れたトラブルを受け、同日に予定していた原子炉の起動試験の開始を延期したことを明らかにした。水漏れ原因をまだ調査中で、月内を目指している再稼働が遅れる可能性もある。
 
 1次冷却水漏れは20日午後、4号機の原子炉補助建屋内で、核分裂反応を抑えるホウ素濃度を調整する系統に通水した際、警報が鳴り、配管が通る部屋の床に水たまりを確認。国への報告基準値を下回る微量の放射性物質を含む約34リットルが漏れた。
 この日は原子力規制庁の保安検査官が立ち会い、現場で水漏れ箇所の特定や原因を調べた。規制庁によると、原因の特定などには至らなかったという。4号機では2010年4月にも1次冷却水漏れがあった
 起動試験は1次冷却水の温度や圧力を上げ、原子炉の起動につながる工程。関電は「起動試験の日程は現時点で何とも申し上げられない。(トラブルの)原因調査の進捗(しんちょく)によっては工程に影響することはあり得る」としている。
 4号機は既に原子炉への核燃料の装荷を終え、今月下旬に再稼働する工程を示していた。 
 
 
冷却水漏れ「報告遅い」京都府と滋賀県、関電対応を疑問視
京都新聞 2016年2月22日
 関西電力高浜原発4号機(福井県)で原子炉を冷やす1次冷却水が漏れた問題で、同原発から半径30キロ圏を含む京都府と滋賀県も対応に追われた。両府県は、原発異常時の連絡を義務づける協定を関電と結んでいるが、報告は発生確認から1時間半以上後で、21日の調査の報告もなかった。両府県の担当者は「もっと迅速に報告できないのか」などと対応を疑問視し、調査状況などの説明を求める。
 
 府によると、20日午後5時15分ごろ、「同3時42分に水漏れを確認した」とするファクスが関電から届いた。同10時45分ごろまで計4回、水たまりの放射線量の測定結果や、周辺環境への影響がないことなどを報告するファクスがあった。21日に行った調査については報告はなかったという。
 府は22日にも、関電の担当者を府庁に呼び、経緯や原因の調査状況について説明を求める方針。「1次冷却系の水漏れは放射性物質が含まれる恐れが高い。もっと早い段階で報告ができなかったのか、詳しく聞きたい」とする。府は昨年2月、同原発に関する安全協定を関電と結び、異常時の連絡を義務付けた。
 滋賀県は、1月に締結した関電との高浜原発に関する原子力安全協定で、不測の事態が起こった場合、県に「直ちに」連絡するよう義務付けた。今回の問題は締結後初めてのトラブルだが、県原子力防災室によると、一報は問題発生から約2時間以上後の20日午後6時前だった。
 
 同室によると、続報など報告は計5回届いたが、21日の原因調査に関する連絡はなく、県は原因が分かり次第、関電に説明を求める方針。同室は「県への連絡になぜ2時間も掛かったのか。無駄な作業があるのなら、関電に改善を求めていく」とした。