高速増殖原型炉「もんじゅ」の廃炉費用を日本原研開発機構が3000億円と見積もっていることが分かりました。これは通常の原発の廃炉費用の数倍に上るということです。
一般の原発では、見かけの発電コストを上げないために廃炉費用を低く算定していると見られているので、あるいはこれが正解なのかも知れません。
しかしこれまで同機構のだらしなさを見ているので直ちには信じられず、むしろすべてが国の予算で賄われる組織特有の、どんぶり勘定的な過大見積もりの可能性の方が大きいように思われます。
例えばもう20年近く全く動いていない「もんじゅ」の維持費が年間200億円(1日あたり5,500万円)かかっているとされていますが、そのうち「液化ナトリウム」が固化しなように保温するための電力料金は、僅かに年間12億円(1日当たり330万円)ということです。それでは残りの1日5,200万円は一体何に使われているのでしょうか?
数十人~数百人を抱えた企業の年間の純利益が5,000万円程度というようなケースはいくらでもあります。それから見ると全く動かない設備に一日当たり5,500万円も延々と掛け続けるというのは、全く夢のような話です。きちんとした査定が行われているとは到底思われません。
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もんじゅ 廃炉に3000億円 原発の数倍、機構が試算
毎日新聞 2016年2月16日
原子力規制委員会から運営組織の交代を求められている高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)について、現在の運営主体の日本原子力研究開発機構が廃炉に約3000億円以上かかると試算していたことが15日、分かった。もんじゅの廃炉費用が明らかになったのは初めてで、通常の原発の数倍に上る。もんじゅにはこれまで1兆円超がつぎこまれ、再稼働する場合も改修費など1000億円超が必要。運転を再開しても廃炉にしても、さらに巨額の費用負担が発生する実態が明らかになった。
試算は2012年時点のもの。原子力機構が現在廃炉作業を進めている新型転換炉ふげんと同様の手順と仮定すると、もんじゅの廃炉には約30年間かかるとしている。費用の内訳は解体に約1300億円、使用済み核燃料の取り出しに約200億円、30年間の電気代や人件費などの維持管理費に約1500億円。使用済み燃料の中間貯蔵費用は試算に含まれるが、貯蔵施設の場所が未定のため輸送費は含まれていない。
通常の原発の廃炉費用は、中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)が2基で約840億円、関西電力美浜1、2号機(福井県)は2基で約680億円と試算されている。もんじゅは、燃料が発する熱を取り出す冷却材にナトリウムを使うため、水を使う一般的な原発に比べて廃炉費用も割高になる。さらにナトリウムを使う原子炉の解体技術は確立されておらず、この研究開発費も別途かかる。もんじゅを巡っては、機器点検漏れなどの不祥事を受け、規制委が昨年11月、新しい運営組織を示すよう文部科学省に勧告。今年夏ごろまでに新組織を示せない場合、抜本的に見直すことも求めた。文科省は有識者会合を設置、新たな運営主体を検討している。【斎藤広子】