震災時に乗り捨てられた自動車などを勝手に移動させることができないので、緊急事態条項を制定する必要があるという驚くべき主張をしばしば耳にします。1月のTV番組でもある保守系の女性コメンテーターがそんなことを言っていました。
通常時でも自動車が路上などに放置されていればレッカー車で移動することはごく当然のはなしです。それなのになぜ憲法を改正する必要があるというのでしょうか。
それはともかくとして自動車が放置されているある写真を見た雑誌の編集者が、原発事故時に被災者が乗り捨てた自動車の群れと勘違いして説明文をつけたところ、実際は事故前から放置されていた車の群れであったため謝罪するという1件がありました。
J-CASTニュースを紹介します。
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「DAYS JAPAN」、福島原発事故記事で「誤報」を謝罪
事故前の廃棄車を「被災者が乗り捨てた車」
J-CASTニュース 2016年2月2日
「これはちょっとひどい」との声もあるが…(画像は問題の写真。同誌公式ツイッターより)
総合月刊誌「DAYS JAPAN」(デイズジャパン)が2016年2月2日、東京電力福島第一原発の事故をめぐる同誌の記事での「誤報」を認め、公式ホームページやFacebook上で謝罪した。
問題となったのは、記事に付けられた車の写真のキャプション。被災者が逃げる際に「乗り捨てた車」との説明がつけられていたが、実際は「事故前から廃棄されていた車」だった。
■グーグルマップに、写真の状況と酷似した場所が
問題の記事は同誌の2015年12月号(15年11月20日発売)に掲載された。タイトルは「原発事故が奪った村」。外国人記者による事故現場周辺のレポートで、15年9月撮影という福島県の帰還困難区域の写真がいくつか付け加えられた。
記事のトップに掲載された、大量の廃棄車を雑草が覆う写真のキャプションが「人々が乗り捨てて逃げた車が、4年半の歳月を経て草に覆われていた 空撮/福島県双葉町」となっていた。しかし、雑誌の発売後、「事故前にあった廃棄車ではないか」「場所が間違っている」という指摘がネット上で相次いだ。
複数のネットユーザーは、2009年に撮影された現地の様子をグーグルマップ、グーグルア-スで確認し、福島県双葉郡富岡町の県道に写真と酷似した場所があることが発見された。
こうした指摘がまとめサイトに掲載されると、
「これはちょっとひどい」
「地元の方に失礼」
「話を盛ってはいかん」
といった批判が数多く寄せられた。
同誌編集部は発売から沈黙を続けていたが、16年2月2日、公式ホームページやFacebookでネット上の指摘に言及し、「読者の方のご指摘と2009年のグーグルマップ」(編注:画像取得日が表示されるのはグーグルアース)をもとにキャプションの誤りを認め、正しくは「事故前から廃棄されていた車」だったと発表した。
加えて、「福島県双葉町」の地名表記も「福島県双葉郡富岡町」の誤りだと明かし、「読書の皆様ならびに関係各位の皆様ご迷惑をおかけした」と謝罪した。
誤記の経緯については、2月2日中に同誌のホームページやツイッター、ブログ、フェイスブックに掲載するとしている。
(追記)2016年2月2日、同誌発行人の広河隆一氏は写真キャプションの「誤報」について、同誌公式ホームページ、フェイスブック上で以下のように経緯を説明した。
廃棄車の写真はある写真家(編注:記事を担当した外国人記者と同一人物かどうかは触れられていない)のホームページで見つけたが、「掲載決定が締切ギリギリだった」ため、写真家から「編集部で写真家のホームページを参照して(キャプションを)書いてほしい」という流れになった。
写真家の英語版ホームページには「車が汚染されたため住民が放棄したと思われる。それを証明するように直後に測定器が鳴り響いた(I guess that the cars became contaminated and then were abandoned by the residents. A moment later the deep of the dosimeter confirms this.)」、日本語版のホームページには「何台もの車が整然と並べられた状態で棄てられていた。恐らく、車が放射能に汚染されたため、避難住民たちがやむなく捨てて行ったのだと思った。車に近づいていった次の瞬間、放射能測定器が鳴り始め、その推測が正しいことを証明した」と説明されていた。
しかし、編集部は「思った」「思われる」の部分を取り除き、「人々が乗り捨てて逃げた車が、4年半の歳月を経て草に覆われていた」と断定的に表記した。
また地名表記も、写真家のホームページにあった「FUTABA」の説明をそのまま使用した。