原子炉等規制法は発電設備の運転期間を原則40年に制限していますが、規制委が認可すれば、20年間延長できるように新規制基準で改正しました。規制委はそれに基づいて今年2月、稼働40年を超す高浜1、2号機原発で初めて「運転延長の審査に事実上合格」としました。
しかし原子炉圧力容器は核燃料から放出された中性子を長年受け続けて脆化しています。それなのにいきなり20年も延長が可能だとするとは、一体どんな根拠があるのでしょうか。それについては規制委からはなにも提示されていません。
もしも原子炉自体が破裂事故でも起こせば放射能の放出量は莫大で、極めて甚大な被害を西日本一帯に及ぼします。
もしも原子炉自体が破裂事故でも起こせば放射能の放出量は莫大で、極めて甚大な被害を西日本一帯に及ぼします。
そうした延長運転は危険であるとして、東海地方や福井県など14都府県の住民76人が14日、国を相手取り、規制委による運転延長認可の差し止めを求める訴訟を名古屋地裁に起こしました。
規制委が20年後まで安全とする根拠を果たしてキチンと提示できるのか注目されます。
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老朽原発で初の提訴 高浜1、2号機差し止めを
中日新聞 2016年4月14日
稼働40年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)の運転をさらに20年延長させるのは危険性が高いとして、東海地方や福井県など14都府県の住民76人が14日、国を相手取り、原子力規制委員会による運転延長認可の差し止めを求める訴訟を名古屋地裁に起こした。老朽原発の安全性を争点にした提訴は全国で初めて。
原子炉等規制法は福島第一原発事故を受けて改正され、運転期間を原則40年に制限。ただ規制委が認可すれば、20年延長できると規定している。
関電は運転延長を目指しており、規制委は今年2月、稼働40年を超す原発で初めて「新規制基準に基づく運転延長の審査に事実上合格した」と判断。運転期間が満了する7月7日までに認可を出すかが焦点になっている。
訴状によると、1、2号機の原子炉圧力容器は核燃料から放出された中性子を長年受け続けてもろくなっており、急激な温度変化で壊れる恐れがあると指摘。地震や津波対策の不備も指摘した上で、新基準や規制委の審査には問題があり、甚大な事故を起こす危険があると主張している。
名古屋市中心部は高浜原発から約130キロ離れている。北村栄弁護団長は「事故が起きれば、偏西風の風下に当たる東海地方にも影響が及ぶことは確実だ」と訴えている。
規制委は「訴状が届いていないため、コメントは差し控えたい」としている。
名古屋地裁に原発訴訟が提起されるのは初。福島事故後は原発が立地していない周辺県の裁判所での訴訟が増えている。
名古屋地裁前で高浜原発1、2号機の運転延長差し止めを訴える、福井、愛知両県などの住民ら'福井新聞撮影)