河北新報 2016年4月17日
東京電力福島第1原発事故の除染作業をめぐり、福島県労連労働相談センターは、2015年に除染作業員から寄せられた相談内容をまとめた。賃金不払いや労働協約なしの経費天引きなど、悪質な事例が後を絶たない除染現場の実態が改めて浮き彫りになった。
センターは15年1~12月、前年より20人多い144人から電話や面接で相談を受けた。内容は「賃金や残業代の未払い」(77件)、「解雇・雇い止め」(15件)などのほか、「賃金明細をもらえない」「放射線管理手帳を返してくれない」といった訴えが多かった。
飯舘村の現場で昨年10~12月に働いた男性は、ホテルなどを転々とさせられた上、勝手に経費を差し引かれ、1カ月分の給料として支払われたのは1万2000円だけだった。郡山市の現場で4次下請けだった作業員が、賃金未払いに対し苦情を言ったところ「今日で来なくていい」と解雇されたケースもあった。
センターの小川英雄副所長は「除染はもうけが出るとブローカーが入り込んでいる。ピンハネなどの手口が悪質化している印象がある」と話した。