2016年4月26日火曜日

籾井会長による 川内原発近傍の地震報道規制 は政府方針の反映

 NHKの籾井会長は20日、NHKで開かれた震災対策本部会議で、「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と発言しました。
 これは被災した人びとの窮状の実態を報じるのではなく、政府にとって都合の良いことだけを報道するようにと指示したに等しいことです。戦時中の大本営発表が敗戦後にあれだけ批判されたにもかかわらず、それを再び公然と叫び出したわけです。
 
 余震が猛烈な程度と回数で熊本地方や大分地方・鹿児島地方を襲っている中でも、NHKのTV画面に現れるのはなぜかいつも鹿児島県の上部から下がカットされた不自然なもので、現在稼働中の川内原発の位置が載らないように注意深く除外されています。
 それこそは是が非でも川内原発を停止させたくない政府の意向の反映に他なりません。
 
 海外に人たちも、大地震が繰り返されているのになぜ川内原発を止めないのか不思議に思っているということです。
 そんな中で、九電関係者からの情報と断って、当初震度4の地震に襲われたときに、「原発を停止させる制御棒が曲がって挿入できなくなったからだ」というツィッターが流れています。
 真偽の確かめようがないし俄かには信じられないことですが、この時期に原発を止めないということはある意味でそれほど異常なことであるからです。
 
 ツイッターと言えば、新潟大学の立石雅昭名誉教授が本震のあった16日に、次のような警告をツイートをしています。
 「立石雅昭‏@masatateishi  2016年4月16日
 川内原発。直ちに停止するべきです。少なくとも、今地震が収まるまで、原発を停止し、推移を見守るべきです。今日未明のM73の地震が本震。今中央構造線西端付近での地震は中部九州を横断して、岩盤が破壊され続けています。動きが読めません。
 
 同教授は、地元の研究者や住民らを中心とする「川内原発活断層研究会2009年~)」のメンバーで、川内原発を巨大地震が襲う」 (¥1500+消費税 南方新社)を書いておられます。
 因みにその第2部の目次は次の通りです。
 第2部 川内原発活断層研究会
   段丘と南九州の地殻変動―段丘を調べて過去の出来事を知る
  1.段丘とは 2.段丘の年齢 3.海成段丘と地震  4.川内川河口の陥没構造  
  5.日本列島の地殻構造  6.南九州の地殻構造  7.巨大噴火
 
 LITERAの記事を紹介します。
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NHK籾井会長が地震報道で「原発は公式発表以外報道するな」と指示! 
震度表示地図から川内原発のある鹿児島が…
LITERA 2016年4月25日
 やっぱり地震報道は歪められていた。NHKで、籾井勝人会長が熊本大地震の原発への影響について、“政府の公式発表以外は報道しないように”と指示していたことが判明したのだ。
 今月4月23日付の毎日新聞によれば、20日、NHK放送センターで開かれた震災対策本部会議で、籾井会長は「原発については、住民の不安をいたずらにかき立てないよう、公式発表をベースに伝えることを続けてほしい」と発言したという。
 つまり、被災現場に近い原発の報道に関し、頻発する地震と原発の問題を懸念する地元住人や識者のコメントなど“独自に取材した情報”ではなく、あくまで政府や行政の“発表”や“方針”だけを報じろ、と指示したわけだ。
 
 しかも、籾井会長の“指示”はそれだけではなかった。籾井会長はくわえて、「食料などは地元自治体に配分の力が伴わないなどの問題があったが、自衛隊が入ってきて届くようになってきているので、そうした状況も含めて物資の供給などをきめ細かく報じてもらいたい」という指示まで行っているのだ。
 熊本大地震で懸念される原発への不安や危険性を封じ込め、一方で救援物資は自衛隊によって十分届いていると安全、安心をアピールする。これは被災した人びとの窮状の実態は放り出し、政府にとって都合の良いことだけを報道すると宣言したに等しい。
 
 このように大本営発表だけが流され、しかも政府に都合の良い報道だけが行われたら、一体どうなってしまうのか。2011年、福島第一原発で事故が発生した際、原発広告漬けのメディアは根拠もない安全神話を垂れ流しつづけたが、実際は故・吉田昌郎所長の調書が示していたように「東日本壊滅を覚悟する」ところまで深刻化していた。ひとたび原発で事故が起これば、多くの命が危険に晒されるのだ。
 しかも、今回の大地震については、けっして収束したわけでなく、新たな地震活動の動きが懸念されている。実際、気象庁が地震の活動範囲が西南側、鹿児島県側に広がっていることを発表したのはもちろん、地震学の権威を含む多くの専門家が四国側の中央構造線への影響も指摘している。
 川内原発近辺の活断層や愛媛県の伊方原発付近で中央構造線が大きく動くことも十分ありうることで、先の専門家からは具体的にその可能性が心配されている。
 
 ところが、籾井会長はこれらの問題に一切触れるな、「川内原発は地震の影響はない」という電力会社と政府の“PR”や“意向”を垂れ流しつづけろ、人びとの命よりも政権を守ることのほうが重要だ、というのである。
 この籾井発言は、まさしく公共放送の責任放棄というほかに言いようがない。籾井氏といえば会長就任時の記者会見で「政府が右と言うのを左と言うわけにはいかない」と信じがたい見解をあきらかにし、その後、NHKの報道は政権批判を封印。そして今回、政権のPRチャンネルであることを裏づける指示を公言したというわけだ。
 
 だが、こうした籾井会長の宣言以前から、すでにネット上ではNHKの震災報道に疑問の目が向けられていた。そのひとつが、地震発生後に出された震度速報の不自然な“地図のトリミング切り取り”だ。
 最初の地震が発生したのは14日の21時26分頃だが、その瞬間、NHKでは『ニュースウオッチ9』が放送中だった。番組では、まず緊急地震速報が画面に表示され、つづけて「熊本地方が震度7」ということが判明、それを伝えたのだが、なぜか画面に映し出された地図は鹿児島県の上部から下がカットされた不自然なものだった。そのため、宮崎県南部あたりに表示されていた震度3という数字も半分が切れており、鹿児島県は震度さえ表示されなかった。
 ちなみに、同時間帯に地震報道に切り替えた日本テレビの場合、鹿児島県薩摩が震度4、宮崎県南部平野部が震度3だと地図上に表示して伝えている。
 NHKはその後、紀伊半島までの震度が表示された広域地図を出し、詳細な震度を伝えたが、しばらくするとまた再び最初と同じ地図に変更。4月16日未明の“本震”発生直後も同じ不自然な地図を使用し、またしても鹿児島県の震度は地図上に表示されなかった。
 
 なぜ、NHKは鹿児島県の震度を地図で伝えなかったのか。いや、なぜ鹿児島県上部までしか入っていない地図だったのか。──ひとつわかることは、地図がトリミングで切られたそのすぐ下に、薩摩川内市が位置するということ。言うまでもなく、その場所には日本で唯一再稼働中の川内原発が建っている。
 こうした不可解な報道に、ネット上でも指摘の声が溢れ、「NHKが意図的に鹿児島の震度を隠している」「意地でも原発止めない九電と、意地でも鹿児島の震度出さないNHKの闇が深すぎて、地震そのものより百倍怖い」「だから!!!なんで鹿児島だけ、さっきから震度を表示しないんだNHK!!!いい加減にしろ!!」「川内原発稼働の異常さに国民の目が向かない思い遣り?」など、数多くの批判が噴出した。
 
 そして、そんな最中に飛び出した、籾井会長の“政府の公式発表以外は報道しないように”発言。──ネット右翼や自民党のネトサポたちは、日々強まるNHKの報道への疑問の声に対して、「サヨクの陰謀論」「なんでもかんでも話を原発に繋げるな」と問題を矮小化することに必死だが、籾井会長の言葉を見れば、大地震発生による原発への影響を過小評価したい“再稼働推進”政府にNHKが追随していることは明らかな事実だ。
 
 籾井会長の命令通りに現場が動けば、NHKは震災や原発について正確に伝えることなどできないだろう。繰り返すが、籾井会長は、政権を盛り立てアピールするためには不都合な事実は隠蔽することは厭わず、一方で国民の生命、財産を守ることなど一切考えもしていないのだ。
 大震災に対しても自らの利権や立場、政治利用しか考えないNHKトップとこの国の総理大臣。そんな“お友だち”2人こそ本当の反日、売国奴といえるのではないだろうか。 (伊勢崎馨)