LITERAによれば、川内原発を止めなくていいのかという極めて当然の懸念・主張に対して、ナント「地震を政治利用するものだ」という批判があるのだそうです。一体なぜそんな発想になるのか? 徹頭徹尾理解不能の反応です。
今回の熊本地震は熊本県を通る中央構造線上で起きたもので、構造線に沿った南西端に鹿児島の川内原発があり、逆に中央構造線が四国側に抜けたところには愛媛県の伊方原発があります。従っていつ川内原発の近くで大地震が起きるかもしれない状況下にあるのに、漫然と原発を動かし続けることこそが異常です。
植草一秀氏によれば、気象庁は17日になって、「熊本県での地震活動の範囲がこれまでよりも南西側に広がっている」 という重大な事実を発表しているということです。
南西側というのはとりもなおさず川内原発の近辺を意味しているのですが、なぜかNHKなどのマスメディアはその先の鹿児島県は映さないようにしています。政府や電力会社が隠すのは勿論許されませんが、メディアがそれを報じないことはもっと許されないことです。
しかし、常に政府の顔色を伺っているNHKも、電力会社が何よりも大事な広告主である大新聞やTVも、わが身可愛さで報道を避けています。これが権力・権威からの独立度が世界で61番目といわれている日本の現実です。
LITERAと植草一秀の「知られざる真実」の記事を紹介します。
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原発に懸念示すだけで「地震の政治利用」と炎上…ネット世論に騙されるな! 川内、伊方原発で高まる大地震の可能性
LITERA 2016年4月17日
熊本大地震は、予想をはるかに上回る被害をもたらした。現時点(17日20時30分現在)で、死者41名、重軽傷者は1000名以上。さらに大規模な土砂崩れ、阿蘇大橋崩落、数々の道路崩壊、地割れ、新しい建物でも全壊や半壊が続出している
こうした深刻な被害を目のあたりにして、被災者への心配とともに広がっているのが、原発への不安の声だ。
当然だろう。震源地の近くにある鹿児島県・川内原発は反対を押し切って再稼働したばかりで、地震対策の甘さが各方面から指摘されていた。今回の地震では異常は認められなかったが、もし、直下で同規模の地震が起きたら、深刻な事故が起きる可能性は決して低くない。
ところが、ネット上では、こうした川内原発への懸念を示すだけで「地震を政治利用するな」「みんなが一丸とならなきゃいけないときに足をひっぱるな」と総攻撃を受ける状況になっている。
たとえば、地震発生後、川内原発の運転続行が決定されたことに対し、共産党の池内さおり衆院議員が〈川内原発今すぐ止めよ。正気の沙汰か!〉とツイートすると、一斉に「政治利用だ」批判が巻き起こり、〈おまえが一番正気じゃない〉〈被災地で電気が止まれば人命に関わるのがわからないのか〉などと大炎上。池内議員は一連のツイートを削除する事態に追い込まれた。
また、16日の『報道特集』(TBS)で、現地レポートをしたキャスターの金平茂紀氏が川内原発への不安を訴える住民の声を紹介し、このまま再稼働を続けていいのかと疑問を呈した際も、〈熊本の震災に便乗して自分達の主張をアピールする反原発派〉〈福一は地震でなくて、津波での電源喪失だよ。なんでもかんでも原発止めろかよ〉〈今、停止したら救助活動に支障が出ます。電気が不足したら、明らかに救助活動が低下します〉という非難ツイートが殺到した。
他にも、原発に不安を示したり、運転中止を求めるツイートなどに対しては、必ず〈自然災害まで反原発に利用するゲス〉〈今原発を止めたら大規模な電力不足でますます状況が悪化する〉という攻撃が加えられる状況になっている。
こうした攻撃を仕掛けている連中は、「原発を止めたら電気が足りなくなって救助できなくなる」といったありえない主張を平気で口にしていることからもわかるように、原発をどうしても運転させたい原発ムラの関係者と、頭の悪いネトウヨが中心だ。
しかし、なかには“善意”で「震災が起きている原発に触れることは政治利用」だと信じ込んでいる人たちもいる。
〈全員が一丸にならないといけない時期なのに、こういう意見は残念〉〈反原発の気持ちはわかるけど今はまず、この災害に立ち向かうべき〉
こういうことを言う人たちにこそ釘をさしておきたいのだが、原発はけっして「政治」や「イデオロギー」ではない。ひとたび近くで自然災害が起きれば、原発はすぐに国民の生命や地域の環境を脅かす。つまり、いま、目の前にある“現実の危機”なのだ。そのことは、5年前の東日本大震災のことを思い起こせば明らかだろう。
しかも、今回については、たんに「比較的近い場所で大地震が起きたから不安」というレベルの話ではない。今回の地震によって、原発直下で大地震が起きる可能性が高まっていると専門家が指摘しているのだ。
一連の地震は、熊本県を東北から南西に横切る日奈久断層帯、布田川断層帯という活断層において発生したが、これらの活断層は「中央構造線断層帯」の延長線上にある。
「中央構造線断層帯」というのは、九州の西南部から、四国を横断し紀伊半島、関東にまで延びる日本最大級の活断層だが、この中央構造線が九州、四国などでおおよそ2000年に1回動いており、マグニチュード8クラスの巨大地震を発生させていることが近年の研究で明らかになっている。
そして、今回の地震をきっかけに、2000年以上動いてなかったこの中央構造線が動く可能性が懸念されているのだ。
たとえば、地震地質学の権威である林愛明・京都大教授は朝日新聞の取材に対し、こんな見解を表明している。
「今回ずれた断層の延長線上にひずみがたまり、大分県側でM7級の地震が起きることも否定できない。四国側の中央構造線が動く可能性もある」
たしかに、一連の地震の震源は、14日の日奈久断層帯から16日の布田川断層帯、さらに阿蘇、大分と、まるで中央構造線の想定ラインに沿うように北東へと移動しており、次が四国の中央構造線上で起きる可能性は否定できない。
一方、東北大の遠田晋次教授(地震地質学)は、逆に南西に震源が移動する可能性を警戒している。
「地震活動が南へ拡大する可能性も忘れてはいけない。日奈久断層帯は北部で地震が発生したが、南への延長部分では地震が起きておらず、注意が必要だ」
いずれにしても、日奈久、布田川断層帯の先や、さらにその延長線上にある中央構造線で大地震の危険性が高まっているのだが、実は、この中央構造線の南西の端には、鹿児島の川内原発があり、一方、中央構造線が四国側に抜けたところには、愛媛県の伊方原発があるのだ。
もし、この川内原発や伊方原発の直下や近辺で、今回の熊本地震と同規模の直下型地震や、中央構造線が動く大地震が起きたら、どうなるのか。
安倍首相は川内原発の再稼働をめぐって「世界一厳しい耐震基準をクリアした」ことを再三強調していたが、川内原発が再稼働にあわせて策定した基準地震動(想定される最大の揺れ)は620ガル。しかし、16日の地震では、益城町でその3倍に当たる1580ガルの加速度が測定されている。
また、伊方原発も、今年夏の3号機の再稼働に向けて耐震工事を実施したが、対応できる地震動は1000ガル。伊方原発付近では、M8〜M9の巨大地震の可能性があることを文科省の特別機関である地震調査研究推進本部も認めており、もしこの規模の地震が起きたら、とても耐えられる設計ではない。
ようするに「世界一厳しい基準」などというのは、地震がほとんどない海外と比べたごまかしの論理であって、世界一の地震大国ではまったく通用しないのだ。
原発のこういう状況を知っていれば、現実に大地震が起きたときに、批判と懸念の声を上げるのは当然ではないか。
ところが、ネット上にひそむ原発ムラ関係者やネトウ連中は、原発を再稼働するために、こうした懸念の声を「政治利用だ」と決めつけ、「みんなが一丸となっているときにそんなことをいうのは不謹慎だ」などという無茶苦茶な論理で批判を封じ込めようとする。
いや、ネット上だけではない。電力会社に巨額広告漬けにされているマスコミも同様だ。
たとえば、今日17日に放送されたフジテレビの『新報道2001』では、番組の最後にわざわざ、「今回の地震は稼働中の川内原発、停止中の玄海原発、伊方原発が近くにあり、その影響を心配する声も上がっていますが、東日本大震災以降、原子力規制委員会も新しい耐震基準を整備しています。デマに流されず、冷静に公開された情報を受け止めてください」などと、わざわざ原発への不安の声をかき消すアナウンスをする始末だった。
そして、こうした声に引きずられるかたちで、一般のネットユーザーまでが「政治利用はよくない」「いまは原発のことを言うべきときじゃない」などと言い始め、原発の危険性の議論そのものがタブーになってしまっている。
しかし、5年前の東日本大震災を思い出してほしい。福島第一原発事故が進行しているあの最中にも、ネット上では同様に、懸念と不安の声を嘲笑い、「反原発の連中が不安を煽っている」と原発危機の現実から目をそらせようと動いている連中が大量にいた。
しかし、実際には、故・吉田昌郎所長の調書が示していたように、福一の危機は我々が考えている以上に進行しており、吉田所長が「東日本壊滅を覚悟する」ところまで深刻化していたのである。
原発利権に骨の髄まで犯されて、安全神話を垂れ流している連中に騙されてはならない。むしろ、この大地震が起きた直後のいまこそ、原発の危険性を大きな声で叫ぶべきなのだ。 (エンジョウトオル)
震源が南西に広がるのに鹿児島を映さないNHK
植草一秀の「知られざる真実」 2016年4月17日
NHKは2011年3月12日正午頃のニュース放送で次のように放送した。
「そして、原子力発電所に関する情報です。
えー、原子力安全保安院などによりますと、福島第一原子力発電所一号機では、原子炉を冷やす水の高さが下がり、午前11時20分現在で、核燃料棒を束ねた燃料集合体が水面の上、最大で90センチほど露出する危険な状態になったということです。
このため消火用に貯めていた水など、およそ2万7000リットルを仮設のポンプなどを使って水の高さをあげるための作業を行っているということです。
この情報を繰り返します」
この原稿を読み上げたあと、約7秒間の沈黙があった。
すると、アナウンサーの横から「ちょっとね、いまの原稿使っちゃいけないんだって」という声が入った。
するとアナウンサーは、最初の原稿を繰り返し読み上げるのをやめて、
「改めて原発に関する情報です。
福島県にある福島第一原子力発電所の一号機では、原子炉が入った格納容器の圧力が高まっているため、東京電力が容器内の空気を外部に放出するベントの作業を始めましたが、格納容器のすぐ近くにある弁を開く現場の放射線が強いことから、作業をいったん中断し、今後の対応を検討しています。」
と別の原稿を読み上げたのである。
NHKは、地震が発生した2011年3月11日の翌日正午のニュースで、炉心溶融の事実を報道したのである。
報道してしまってから、「いまの原稿使っちゃいけないんだって」の声が入り、事実を隠蔽した。
政府は、原発メルトダウンの事実を隠蔽し続けた。
これがNHKの正体である。
NHKは今回の熊本地震の震源地を図解する際に、鹿児島県を含む地図を一切映し出さない。
今回の地震は中央構造線で発生している。
本ブログ、メルマガでは、最初の地震が発生した翌日である4月15日午前10時の記事に、1596年に発生した 慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震 について記述するとともに、地震の連鎖、広がりについて警告を発した。
そして、4月16日午前1時25分にM7.3、震度6強の地震が発生した。
さらに、午前3時55分頃に 震度6強 午前9時48分頃に 震度6弱 の地震が発生した。
地震の震源地は熊本、阿蘇、大分に分散しているが、そのすべてが「中央構造線」上で発生している。
その後、この1596年の地震についての報道が激増した。中央構造線上の地震の連鎖に関する報道が激増したのである。
問題は、この中央構造線上に、四国電力伊方原子力発電所 九州電力川内原子力発電所 が存在することである。
しかも、気象庁は4月17日になって、「熊本県での地震活動の範囲がこれまでよりも南西側に広がっている」 という重大な事実を発表している。
地震の震源地の南西方向に、川内原発が立地している。直ちに九州電力川内原発の運転を停止することが絶対に必要である。
NHKは震源地の地図を示す際に、鹿児島県が表示されないようにしている。
日本国民にとって、川内原発における直下型地震の発生は死活問題である。
当然のことながら、断層が鹿児島県川内原発方面に伸びているのかどうか、川内原発近辺での地震発生の可能性を論じることが必要である。結論として断定的な判断を下すことはできない。
しかし、同じ中央構造線の延長にある川内地域で巨大な直下型地震が発生する可能性を排除することはできない。
リスク管理の鉄則は「安全策を取る」ことだ。川内原発を直ちに運転停止するべきである。
(以下は有料ブログのため非公開)