関西、中国、四国、九州の西日本の電力会社4社が、原発の事故対応や廃炉技術、再稼働の安全対策で提携することになりました。
各社共通の課題に結束して取り組み、安全性や効率性を高めるとともに、安全対策費を節減するのが狙いで、4月中にも協定を結び、2016年度内に人材交流を始めるということです。
そして炉心溶融などの過酷事故の発生時に、緊密に連絡を取り合う態勢を強化し、事故時に必要となる移動電源車やポンプ車などの必要な資機材を、相互に利用できる仕組みも構築します。
米国では福島事故の経験をもとにして、各電力が共同で運営する緊急事態対応センターを二つ設け、そこに緊急用の資材を保存し納入先に応じて飛行機、ヘリコプターなどを使い分けて迅速に届けられるようなシステムを、既に2014年6月に構築しています。更に各原発で同じ機器が使えるように電源やケーブル及びホースの接続仕様の統一まで図ったということです。
そうした優れた点は是非日本も見習って欲しいものです。
(関係記事)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
原発安全費重く 西日本4電力提携へ 対策費節減狙い
東京新聞 2016年4月5日
関西、中国、四国、九州の西日本の電力会社四社が、原発の事故対応や廃炉技術、再稼働の安全対策で提携することが五日、関係者への取材で分かった。各社共通の課題に結束して取り組み、安全性や効率性を高めるとともに、東京電力福島第一原発事故後に急増している安全対策費を節減するのが狙い。
国内の電力大手が原発の広範な分野で協力するのは初めて。四社は地域が近く、再稼働や老朽原発の廃炉で取り組みが先行しており、課題が重なる。四月に電力小売りが全面自由化され、家庭の利用者が新電力に契約を切り替え始め、競争が激しくなっている。提携は経営環境の改善にもつながると判断した。四月中にも協定を結び、二〇一六年度内に人材交流を始める。
東京電力など東日本の大手電力が技術維持のため、関電などに原発担当者を派遣する形で協力が広がる可能性もある。
四社は具体的には、炉心溶融などの過酷事故の発生時に緊密に連絡を取り合う態勢を強化する。電源喪失に備え、移動電源車やポンプ車が迅速に駆け付けられるようにするなど、資機材を相互に利用できる仕組みを構築する。防災訓練に他社から参加することも検討。外部の意見を採り入れて安全意識を高める。
四社は関電美浜1、2号機(福井県)、中国電島根1号機(島根県)、四国電伊方1号機(愛媛県)、九電玄海1号機(佐賀県)で廃炉を決めている。廃炉作業は三十年以上の長期に及ぶとされ、専門性も要するため、技術を互いに蓄積し合う。
<原発の安全対策> 東京電力福島第一原発事故後に定められた新たな規制基準により、原発の安全性向上が強く求められるようになった。再稼働には電源ケーブルを燃えにくくするなどの追加工事で、1基当たり1000億円超の投資が必要といわれる。廃炉では、放射性物質を慎重に管理しながら、30年以上かけて設備の解体作業などを進める。1基の解体費用は数百億円規模に上る。