フランスで強度が不足している疑いが発覚した仏クルゾ・フォルジュ社と日本鋳鍛鋼(株)の製造した鋼材が、日本の原発でも8原発13基で原子炉圧力容器に用いていることが分かりました。
稼働中の九電の川内原子力発電所1、2号機も含まれていました。
該当するメーカーの鋼材を圧力容器に用いていなかったのは、中部電力と東北電力、北海道電力と電源開発の4社でした。
規制委は、問題が指摘されている2社の鋼材だけでなく、鋳造鋼が圧力容器などの重要設備に使用されている場合には、作られた鋼材の強度が日本の規格を上回っているかどうかを評価し、10月31日までに報告するよう求めています。
この際使用後の強度を含めて徹底的に調査すべきです。
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強度不足疑いのメーカー製鋼材、8原発13基で使用
日経新聞 2016年9月2日
フランスの原子力発電所で強度不足の疑いがある鋼材が使われていた問題で、関西電力や九州電力など6社は2日、全国8原発13基の原子炉圧力容器に、同じメーカー製の鋼材が使われていたと原子力規制委員会に報告した。今後、使われた鋼材の強度を確かめ、10月末までに規制委に報告する。
電力各社によると、問題の鋼材をつくった日本鋳鍛鋼(北九州市)製の鋼材が使われていたのは、東京電力福島第2原発2、4号機、北陸電力志賀1号機(石川県)、関電高浜2号機(福井県)、同大飯1、2号機(同)、日本原子力発電敦賀2号機(同)、四国電力伊方2号機(愛媛県)、九電玄海2、3、4号機(佐賀県)、現在稼働している同川内1、2号機(鹿児島県)の圧力容器。
仏規制当局は今年6月、同国の原発18基で成分の偏りのために強度が低下している恐れがある鋼材が使われていたとして、電力公社に強度を確認するよう求めた。鋼材は仏メーカー、クルゾ・フォルジュと日本鋳鍛鋼が製造。規制委は8月、日本の電力各社に確認を指示していた。
仏当局は、18基についてもただちに安全上の問題が生じるわけではないとして、運転を継続している。
川内原発 「安全性は大丈夫か」 圧力容器強度不足で調査
毎日新聞 2016年9月2日
再稼働した九州電力川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉圧力容器でも強度不足の可能性が浮上し、住民から「安全性は大丈夫なのか」と心配する声が上がった。川内原発を巡っては、同県の三反園訓(みたぞの・さとし)知事が熊本地震の影響を調べるため一時停止するよう九電に要請。今回の問題でも三反園知事が九電に説明を求める可能性がある。
鹿児島市の自営業、鮫島(さめしま)亮二さん(38)は「本当に強度不足なのかはまだ分からないと思うが、事故を起こしたら取り返しがつかないので不安だ。川内原発を停止して、徹底的に調べてほしい」と求めた。
製造元の日本鋳鍛鋼(北九州市)は2日、共同通信の取材に「原子力規制委員会から要請があればいつでも調査を受ける」と答えた。
担当者は「製造過程で各種の検査を実施しており、発注から出荷までの製造記録も取っている」と強調。現時点で製品に問題は確認されていないと説明した。