「放射能被害とわかる、常識で」小泉元首相、
元米兵支援「トモダチ基金」の意義語る
弁護士ドットコムニュース 2016年9月7日
東日本大震災で米軍がおこなった救援活動「トモダチ作戦」で被ばくしたとして、健康被害を訴えている元米兵らのために、基金を立ち上げた小泉純一郎元首相が9月7日、東京・有楽町の外国特派員協会で記者会見を開いた。小泉氏は「元兵士らの健康被害は放射能によるものだ」と強調した。
2011年3月の東日本大震災の際、日本政府から要請を受けたアメリカは、空母ロナルド・レーガンを派遣し、東北地方沖合で救援活動「トモダチ作戦」をおこなった。小泉氏によると、福島第一原発事故による放射性物質の流出状況がアメリカ側に伝えられず、兵士たちは汚染された水でシャワーを浴びたり、飲食に利用していたという。
小泉氏は今年5月中旬、健康状態を訴えている元兵士らに会うため、米サンディエゴを訪れた。小泉氏はこの日の会見で、元・現役兵士ら10人から直接話を聞いたことを振り返りながら「医学的に『放射能による被害と断定できない』とされているが、頑健な兵士たちが被害を受けている状況をみれば、放射能によるものだとわかる、常識で」という見解を示した。
小泉氏は今年7月、細川護熙元首相とともに「トモダチ作戦被害者支援基金」を立ち上げた。「直に病気で苦しんでいる兵士の話を聞いて、『気の毒ですね』『かわいそうですね』で終わらせてはいけないと思った」。小泉氏によると、あくまで民間人としての活動で、来年3月末までに寄付金1億円を目指すという。