東海第二原発の運転期間の延長が認められたあと、日本原電の和智信隆副社長が、報道陣の質問に答える形で「協定書には拒否権という言葉はない」と発言したことを巡り、9日夜、「実質的な事前了解を得る」とする協定に参画した6つの自治体と日本原電との懇談会が開かれました。
自治体側から発言への批判が相次ぎ、発言の撤回と謝罪を申し入れました。それに対して日本原電の剱田裕史東海事業本部長は、「申し入れについては会社に持ち帰って検討する。誠意を持って対応していく」と述べました。
関連して、東海村と周辺5市の首長は9日、「一市村でも事前に了解しなければ同原発の再稼働には進まない」との認識で一致しました。
関連の記事を紹介します。
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東海第二原発再稼働「拒否権ない」に自治体が謝罪と撤回要求
NHK NEWS WEB 2018年11月10日
運転期間の延長が認められた茨城県にある東海第二原子力発電所の再稼働の際、事前の了解を得るという協定を結んだ周辺の自治体と事業者の日本原子力発電の会議が9日夜、開かれ、日本原電の副社長が認可のあと「協定に拒否権という言葉はない」と発言したとして、自治体側から謝罪と発言の撤回を申し入れました。
東海第二原発は7日、原子力規制委員会から原則40年に制限された運転期間を最長20年延長することが認められました。
認可のあと日本原電の和智信隆副社長は、東海第二原発が再稼働する際に周辺の6つの自治体と結んだ「実質的な事前了解を得る」とする協定について、報道陣の質問に答える形で「拒否権という言葉はない」などと発言していました。
9日夜、茨城県東海村で6つの自治体と日本原電との懇談会が一部非公開で開かれ、自治体側から発言への批判が相次ぎ、発言の撤回と謝罪を申し入れたということです。
懇談会のあと東海村の山田修村長は「発言はごう慢で見過ごすことはできない。撤回と謝罪がなければその先の協議はできない」と述べ、強い憤りを示しました。
日本原電の剱田裕史東海事業本部長は「申し入れについては会社に持ち帰って検討する。誠意を持って対応していく」と述べました。
東海第2原発「再稼働、全市村の了解なしに進まず」
日経新聞 2018年11月9日
日本原子力発電の東海第2原子力発電所(茨城県東海村)の再稼働を巡り、東海村と周辺5市の首長は9日、一市村でも事前に了解しなければ、同原発の再稼働には進まないとの認識で一致した。同村で開かれた「原子力所在地域首長懇談会」の終了後、東海村の山田修村長が記者団に明らかにした。
懇談会には同村のほか、水戸、日立、ひたちなか、那珂、常陸太田の5市の首長が出席。事前了解の解釈を原電にただしたという。懇談会終了後、原電の剣田裕史東海事業本部長は「協定にのっとり丁寧に対応していく」と述べるにとどめた。
原電と6市村は2018年3月に結んだ新たな安全協定で、5市に「実質的な事前了解」の権限を与えていた。ただ、6市村の首長の間で受け止めにずれが生じていた。
原発再稼働に反対市長が不出馬へ
共同通信 2018年11月10日
日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の再稼働に反対している同県那珂市の海野徹市長(69)は10日、来年1月27日告示、2月3日投開票の市長選に立候補しない意向を明らかにした。共同通信の取材に答えた。家族が出馬に反対しているという。
再稼働を巡っては今年3月、原発が立地する東海村のほか、那珂市や水戸市を含む計6市村が事前同意権を持つ安全協定を原電と締結。海野氏は10月、「完璧な避難計画を作成するのは不可能だ」として、再稼働への反対を表明していた。