東電が送配電設備を総点検、相次ぐ停電に緊張感
点検計画は3年、安全対策の健全性を証明する
日刊工業新聞 2018年11月8日
東京電力ホールディングス(HD)は電力業界で自然災害による停電が多発していることから、3年計画で送配電設備の総点検を実施する。今年は集中豪雨や大型台風で地域の送配電網が壊滅的なダメージを受け、復旧までに時間を要する停電が相次いだ。また、北海道地震では大規模発電所が被災し、電力供給エリア全域に及ぶ広域的な停電も発生。電力大手各社は政府の指示で、発電所を含めた重要施設の緊急点検を実施しているが、総点検で事業継続計画(BCP)を徹底する。
東電HDは火力発電所の耐震性や送配電設備の安全対策を調べ、10月中旬、所管の経済産業省に「問題なし」と報告した。ただ、首都圏と静岡県東部を含む東電HDの電力供給エリアにも大型台風が襲来し、近い将来、首都直下型地震や東南海トラフ地震も想定されることから「改めて総点検により健全性を確認する」(森下義人常務執行役)としている。点検作業の開始時期や方法、順序など、具体的なやり方は、今後検討する。
国内では6月の大阪北部地震、7月の西日本豪雨、9月の台風21号、北海道地震と大規模災害が続き、電力をはじめとしたインフラに想定を上回る被害が出た。これを受け政府は関係省庁を通じ9月下旬に、電力設備をはじめとする重要インフラ118項目について、事業者に機能確保のための緊急点検を指示。国土強靱(きょうじん)化の観点から、安全性や安定性の強化を促している。
東電HDでは必要に応じて自主的に追加対策を取り、防災レベルを高めていく。