2018年11月16日金曜日

<核のごみ 漂流する処分策> 河北新報

 河北新報が、<核のごみ 漂流する処分策>シリーズの4つの記事(電子版ベース)を載せましたので紹介します。
 原記事には「科学的特性マップ」の図等も掲載されていますので、興味のあるかたは、記載のURLからアクセスしてください。
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<核のごみ 漂流する処分策>NUMOの科学的特性マップ説明会 
              東北で懸念や反発相次ぐ
河北新報 2018年11月15日
 NUMOは、核のごみの最終処分地の選定や建設、運営を担う。手始めに科学的特性マップの説明会を各地で展開する。東北では懸念や反発を招いた。
 「なぜ釜石でこの時期に開くのか」。釜石市岩手県で10月21日にあった説明会は、序盤から紛糾した。
 市内では1988年から10年間、旧動力炉・核燃料開発事業団が地層処理の基礎研究を実施。市議会は最終処分地の拒否宣言を決議した歴史がある。
 
 マップでは、岩手県沿岸は全て輸送面でも好ましい地域。しかも当日は一大行事「釜石まつり」と重なり、不信と疑問が噴出した。NUMOの担当者は「県庁所在地は一巡し、交通の利便性などから釜石を選んだ」「旧動燃の経緯は知っているが、別組織だ」などと釈明に追われた。
 会場からは「なぜ原発を再稼働し、最終処分が大変な核のごみを増やすのか」との意見もあった。市内の会社員の男性(48)は「地域の感情は分かるが、原発の恩恵を受けたわれわれの世代が解決に進まないといけないのでは」と話した。
 
 日本原燃が核のごみを一時貯蔵する青森県。事あるごとに、知事が経済産業相に最終処分地にしない約束の順守を求める光景が定着した。青森が最終処分場化される不安が消えないからだ。核のごみは2045年に最初の保管期限を迎えるが、最終処分場は建設まで約30年かかるとされ、単純計算では間に合わない。青森市で7月に開かれた説明会でも「本当に間に合うのか」「どこの自治体も手を挙げなかった場合はどうなるのか」などの指摘が出た。
 マップが公表された17年7月、世耕弘成経済産業相は青森県と原発事故に遭った福島県を候補地から外す考えを示した。
 
 
<核のごみ 漂流する処分策> 幌延深地層研究センター 近づく実験期限
河北新報 2018年11月15日
 東京電力福島第1原発事故後、原発が再稼働する一方で高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分に向けた動きは停滞したままだ。日本原子力研究開発機構(JAEA)の幌延深地層研究センター(北海道幌延町)は、核のごみを地中深く埋める「地層処分」(最終処分)の実験場。研究期限が近づく中、地元では予定通り終了を求める声と経済効果を期待して延長を求める声が交錯する。最終処分実施主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は、候補地となり得る地域を示した「科学的特性マップ」の住民説明会を各地で開催しPRに躍起だが、関心は総じて低い。「トイレのないマンション」から、いつ抜け出せるのか。(東京支社・瀬川元章)
 
◎地下350m閉じ込め性能試験「さらに深い所理想」
 国内最北端の稚内空港から南へ40キロ。2300人が暮らし、酪農が盛んな幌延町にJAEAの幌延深地層研究センターがある。
 西立て坑からエレベーターで降りて約4分。地下350メートル、水平に掘った8の字形の調査坑道(全長757メートル)に着いた。
 トンネルの掘削現場に似ている。海に近く、軟らかい堆積岩の地質。壁には1メートル間隔でアーチを支える鋼材が食い込む。塩気のある水があちこちで染み出し、道端の排水溝にたまる
 湧水量は1日60トン。ぷくぷく浮かぶ気泡はメタンガスを含む。2013年には湧水が急増。メタンガス濃度が基準値を超え、作業員が避難する事態が起きた
 
 坑道の一角で、核のごみの「模擬」埋設試験が15年から行われている。
 垂直に掘った穴に、ガラス固化体を収納する金属容器(高さ173センチ、直径82センチ、重さ6トン)を置き、ブロック状の緩衝材で覆う。穴を埋め、坑道をふさぎ、厚さ3メートルのコンクリートでふたをした
 地下深部は酸素がほぼなく、水の動きは極めて遅いという。容器の内蔵ヒーターを100度まで加熱し、ガラス固化体から出る熱を再現。周囲を水で満たすため、圧力をかけて注水する装置がガタガタ音を立てる。
 試験は少なくとも19年度まで続け、放射性物質を閉じ込める性能を確かめる。センターの佐藤稔紀深地層研究部長は「施工は想定通りクリアした。千年万年後の現象を予測するシミュレーションに使う熱や水、応力、化学のデータを取っている最中」と説明する。
 
 センターは01年に調査を開始。本年度末までの総事業費は566億円に上る。現在は約100人が働く。
 研究期間は20年程度で終期が迫る。佐藤氏は「もう少し深い所で亀裂や断層がない領域が出てきそうだ。研究の場として、より理想的な条件に近づく」と指摘。「350メートルでの研究を継続するか、(当初計画の)500メートルまで掘るか、埋め戻すか。19年度末までに方針を示したい」と話した。
 
[高レベル放射性廃棄物(核のごみ)]
 使用済み核燃料を再処理し、プルトニウムなどを取り出した後に残る廃液で、高温のガラスと混ぜて固めたものを「ガラス固化体」と呼ぶ。極めて強い放射線を出す。日本の使用済み核燃料は約1万8000トンあり、既に再処理した分も含めるとガラス固化体で2万5000本相当になる。2000年成立の特定放射性廃棄物最終処分法で、ガラス固化体を地下300メートルより深く埋める「地層処分」が決定。埋設後の取り出しは想定せず、事実上の最終処分地となる。岐阜県には、硬い結晶質岩で地層処分を研究する日本原子力研究開発機構(JAEA)の瑞浪(みずなみ)超深地層研究所がある。
 
[科学的特性マップ]
 火山や活断層が周囲になく、安定的な地層や地質と期待される地域を「好ましい特性が確認できる可能性が相対的に高い」(黄緑色)と判断。このうち船による搬入を想定し、海岸から約20キロの範囲を「輸送面でも好ましい」(緑色)と強調する。
 活断層の周辺、火山の中心から半径15キロの範囲などを「好ましくない特性があると推定される」(オレンジ色)と指摘。油田やガス田、炭田がある地域も将来掘り起こされる可能性から「好ましくない」(灰色)と分類した。
 
 
<核のごみ 漂流する処分策> 幌延町長、センターの必要性強調 
              住民組織は研究と処分の一体化懸念
河北新報 2018年11月15日
 幌延深地層研究センターは、完成まで紆余(うよ)曲折をたどった。原子力施設の誘致に動いていた幌延町に1984年、核のごみの貯蔵管理、最終処分を研究する「貯蔵工学センター」構想が浮上。道内の反対運動で、核のごみを持ち込まない研究機関に機能を限定し、2001年に開所した。
 核燃料サイクル開発機構(当時)と道、町は(1)放射性廃棄物の持ち込み、使用はしない(2)最終処分を行う実施主体への譲渡、貸与はしない(3)研究終了後は地下施設を埋め戻し、閉鎖する-との3者協定を締結。町は放射性廃棄物の搬入を認めない条例も制定した。
 
 「原発事故以来、最終処分の研究は重要性を増している」。野々村仁町長(63)は強調した上で「大量の使用済み核燃料が地表で中間貯蔵の形で生き永らえている。ここまで来たのは大変なツケ。原発の再稼働と一緒に、処分の議論も進めるべきだ」と訴える。
 センターの立地で、町には一般会計3%相当の1億6000万円が交付金として毎年入り、経済効果は推計3億円。町農協、雪印メグミルク幌延工場と並ぶ町内3大企業の位置付けだ。
 計画では研究期間は「20年程度」。終期が近づく。「私の主観では、この研究は必要。国の方針がそうなれば、新しいステージを考えることになる」。野々村町長はセンターの操業延長を提案された場合、容認の姿勢をにじませた。
 
 町に加え、道も「核のごみは受け入れがたい」との宣言条例を作り、最終処分地化を防ぐ二重三重の構えを取ったが、周辺住民の不安は消えない。「原子力に頼るまちは飲み屋と旅館しか残らない」と経済効果を疑問視する声も漏れる。
 「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」の久世薫嗣(しげつぐ)代表委員(74)=豊富(とよとみ)町=は「僕らにとってセンターは迷惑施設。基幹産業の農業や漁業、観光にきちんと取り組むことがこの地域を守ることになる」と研究終了を求める。
 東道(おさむ)代表委員(68)=稚内市=は「火山や地震が多く、活断層もどこにあるのか分からない日本で、地層処分がいいと決めた国はそもそも無責任」と指摘。最近の国の動向から、研究と処分の一体化を懸念する。
 
 
<核のごみ 漂流する処分策> 後始末 国内で責任を/伴英幸氏に聞く
河北新報 2018年11月15日
(以下は伴英幸氏の主張です 湯沢ブログ事務局註)
 幌延深地層研究センターは地元との約束を絶対に守り、研究を終わらせないといけない。国もJAEAもNUMOも信頼されていないことが最大の問題。研究者は続けたいだろうが、別の場所を探すべきだ。
 核のごみの地層処分の研究自体は続けるべきだ。地下深部での地下水の流れ、地震など自然現象による変化がよく分かっていない。やめてしまえば、より安全な処分の技術開発につながらない。日本では将来的に地層処分するしかないと思う。国内で後始末することが、原発を57基も造った国際社会に対する責任だ。研究期間を100年単位で長く取り、使用済み核燃料の中間貯蔵も延長する必要がある
 
 核のごみの発生量の上限、つまり脱原発を決めて最終処分場を1カ所だけ造るという政策の方向性がはっきりすれば、将来世代に影響を極力残さないという意味で、意見が異なる人たちも同じテーブルに着けるのではないか。
 (必要性は認めるが、居住地に造られるのは困るという)NIMBY(ニンビー、Not In My Back Yard )は尊重した上で、みんなの問題として、長い間コツコツと話し合っていくしかない。(談)