東海第二原発からの避難には、バスが3000台、ストレッチャーに乗せたまま避難できる福祉車輌が1000台必要ですが、両方とも調達・運用できる見通しは全くありません。
これではIAEAの「深層防護 第5層」の要件を欠くことになり、原発を再稼働させることは出来ません。
このことは、既に再稼働に入っている全てのケースについて言えることです。
最近、更田規制委員長が避難時の「被曝量限度を100mSv」にする云々の発言をしましたが、「それは避難に何日かかっても再稼働の障害にはならない」という暴論です。
たとえば空間線量400μSv/hで10日間かかっても良いという数値になりますが、そんな状況下で10日間も介護や運転に従事する人はいません。
註) 空間線量の正常値は0.05μSv/h程度なので、400μSv/hはその8000倍のレベルに相当します。
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茨城県:原発事故時 要配慮者の避難手段乏しく
毎日新聞 2018年11月08日
茨城県の広域避難計画では、原発事故時の避難は自家用車が基本で、高齢者や障害者などの要配慮者はバスや福祉車両などで移動する。しかし、必要な台数不足や運転手の被ばく対策の遅れから、現状は「絵に描いた餅」にすらなっていない。
県原子力安全対策課によると、原子力防災が必要となる東海第2原発30キロ圏内(UPZ)の住民は約96万人。うち要配慮者は7万~8万人いる。自家用車を持たない人を含めるとバス移動は約14万人で、約3000台が必要と試算した。
自力歩行できない高齢者や障害者を車椅子やストレッチャーに乗せたまま運べる福祉車両も不足している。原発5キロ圏内だけで対象者は約1500人に上り、約1000台が必要とされるが、県ハイヤー・タクシー協会が所有するのは30台ほどだ。
県は今年7月、事故時の協力協定を県バス協会と締結すると発表した。だが、大井川和彦知事が中身が何も決まっていないことを知り、締結前日に延期した。運転手の被ばく上限は年間1ミリシーベルトに設定する予定だが、運転手への防護服や線量計の配布方法、補償などの具体的な条件は決まっていなかったという。
協会の加盟118業者が所有するのは2982台。運転手が出動を拒否する恐れもあり、協会の担当者は「県には事故時に何台出せるか確約できないと言っている」と話す。【加藤栄、吉田卓矢】