昨年1月と５月に多数箇所の点検漏れがあると指摘された高速増殖炉「もんじゅ」は、その後1年以上が経過しているのに、いまだに全機器の点検が完了していないということです。
昨年９月に全機器の点検を終了したという報告が上がりましたが、かなり事実に反したものであったということです。
「もんじゅ」は現在長期に渡って運転を停止していますが、熱媒体として使用している液体ナトリウムは常温では固化するので、常時装置を加温しておく必要あるなど、運転停止中であるにもかかわらず１日５，５００万円以上（年間で２２０億円）という信じられないような維持管理費を消費しています。
これまで１兆１０００億円を投じた高速増殖炉ですが、もはや成功する見込みはないので、別の目的＝用途に変更して「もんじゅ」を存続させようというのが政府の目論見で、それは１１日に「エネルギー基本計画」として閣議決定されました。
液体ナトリウムは空気に触れると燃え水に触れると爆発するので、一旦事故が生じれば手の施しようがないといわれています。しかも核燃料はウランよりも発がん性がはるかに高いプルトニウムです。
停止中の維持管理が不良であれば、将来稼動させたときにどんなトラブルを生じないとも限りません。
信じられないような経費を使いながら、「きちんとした維持管理」という基本がなぜいつまでたっても実行できないのか、不思議なことです。
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もんじゅ検査で虚偽報告の疑い 新たに未点検機器
東京新聞 2014年4月11日
原子力規制庁が３月、大量の機器点検漏れから運転禁止状態にある日本原子力研究開発機構の高速増殖炉原型炉もんじゅ（福井県）を保安検査した際、新たな未点検機器を見つけていたことが１０日、分かった。昨年９月の「全機器の点検が完了した」とする原子力規制委員会への報告と矛盾し、規制庁関係者は「報告が虚偽だった疑いもある」としている。内規を逸脱して点検記録を訂正した不正な処理も１００カ所以上見つかった。
政府は１１日にも閣議決定するエネルギー基本計画でもんじゅ存続の方針を示しているが、不祥事発覚で規制委が昨年５月に出した事実上の運転禁止命令の長期化は避けられない。（共同）
もんじゅ点検計画、確認中に「完了」と報告 原子力機構
朝日新聞 2014年1月15日
高速増殖原型炉もんじゅ（福井県）で機器の点検放置が大量に見つかった問題で、日本原子力研究開発機構は、原子力規制委員会の命令を受けて提出した点検計画の確認作業中だったにもかかわらず「完了した」と報告していた。規制委が１５日、明らかにした。
規制委は昨年５月、点検放置を受け、運転再開の準備を禁じ、点検計画を見直すよう命令。原子力機構は昨年１１月１９日に規制委に点検計画を提出した。その後、点検時期や手法が正しく書かれていないなど約７６０件の不備がわかった。
規制委が１２月に現地で検査した際、不備を確認したとする書類を原子力機構に示された。規制委は事実関係を詳しく調べる。
原子力機構は「計画の内容の確認は提出した後も繰り返しする作業で、提出の時点で不備があるとの認識はなかった」としている。
もんじゅ機器点検完了を報告 不適合機器１万４３００点
福井新聞2013年9月30日
高速増殖炉もんじゅ（福井県敦賀市）で発覚した１万点を超える機器の点検漏れについて、日本原子力研究開発機構は３０日、未点検機器の点検作業を完了したと原子力規制委員会に報告した。点検時期の超過に手続き上の不備を加えた「不適合機器」は計約１万４３００点に上った。
規制委は今年５月、事実上の運転禁止命令を出し、未点検機器の点検作業を指示していた。命令が解除され運転再開の準備に入るには、機器の保全計画見直しが必要だが、原子力機構は策定時期を未定と説明。併せて求められている保守管理体制の再構築に向けては、先ごろまとめた改革計画に従い、来年４月をめどに組織改編する。
今年１月に４５４５点としていた未点検機器の総数は最終的に７３４６点に増えた。保安規定により低温停止中でも機能が求められる機器は４８８点あり、このうち「クラス１」と呼ばれる安全上最重要なものは８５点だった。機能が求められない６８５８点のうち「クラス１」は３８３点。
原子力機構は未点検機器の点検を順次実施。長期停止中のため当面は点検を必要としない「特別な保全計画」の管理下に移行した１７点と設備改善に伴い撤去した５２７点、有効性評価を行い点検間隔を延ばした２９７点を除く６５０５点の点検を９月２５日に終えた。
原子力機構は「今回の点検を完了するまでに調査、整備してきたデータベースを活用し、保全計画の見直しなどを行い、保守管理上の不備の再発防止に努めていく」としている。
