福島原発事故による汚染水対策の柱となる「地下水バイパス」運転が9日から始まりました。
山側から敷地に入り込んでくる地下水を、原子炉建屋に地下水が流れ込み汚染される前に、12本の井戸から当面は合計1日約100トンをくみ上げて海に放流するものです。
実際の放流は詳細な水質分析後、5月の大型連休明けにも開始する予定です。
福島県漁業協同組合連合会は先月末、放射性物質濃度の目標の厳守などを条件にバイパス放流は止むを得ないものと容認しました。
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汚染水対策、地下水のくみ上げ始まる 福島第一原発
朝日新聞 2014年4月10日
東京電力は9日、福島第一原発の汚染水対策の一環として、増加の原因となっている地下水をくみ上げて海に流す「地下水バイパス」の作業を始めた。放射性物質の濃度が東電の基準を下回ることを確かめた上で、来月の大型連休明けにも放出を始めたい考えだ。
第一原発の建屋には1日約400トンの地下水が流れ込み、新たな汚染水を発生させている。地下水バイパスは、建屋の山側に深さ20~30メートルの12台の井戸を設置して地下水をくみ上げ、汚染される前に海に流す計画。水はいったんタンクにため、外部の2検査機関が調べる。基準は、セシウムなどの放射性物質の濃度が周囲の川と同程度に設定。福島県漁業協同組合連合会は先月末、放出を容認した。
放出開始前は1日約100トンくみ上げる。順調に稼働すれば、くみ上げ量を約1千トンに増やす。汚染水を1日20~100トン分減らせる見通しという。
地下水バイパス きょうくみ上げ開始 東電 来月放出へ水質分析
福島民報 2014年4月9日
東京電力福島第一原発事故による汚染水対策の柱となる「地下水バイパス」計画で、東電は8日、専用井戸でのくみ上げを9日に始めると発表した。原子炉建屋に地下水が流れ込み汚染される前にくみ上げる計画で、詳細な水質分析後、5月の大型連休明けにも海洋放出を開始する予定。平成24年11月に井戸の掘削が始まった地下水バイパスの計画が本格的に始動する。
東電は9日、原子炉建屋の山側に掘った12本の井戸で地下水のくみ上げを始める予定。くみ上げた水は、山側に9つある一時貯留タンク(1つ当たりの容量1000トン)に移送し、日本原子力研究開発機構などの第三者機関を交え、放射性物質がどの程度含まれているか分析を行う。
分析には1カ月程度かかり、水質に問題がなければ、県漁連などに水質の分析結果を報告した後に海洋放出する。最初の放出後は順次、地下水をくみ上げ、セシウム134、137の1リットル当たり1ベクレル未満など放射性物質濃度の運用目標をクリアしていることを確認した上で数日に1回程度の放出を予定している。
地下水バイパスについて、県漁連や全国漁業協同組合連合会(全漁連)は、地下水に含まれる放射性物質濃度の目標の厳守などを条件に受け入れた。